大型株はしっかり、TOPIXコア30と日経平均のパフォーマンス格差は年初来で6%超

今週のマーケット展望で以下のように述べた。「このところ米国株が少し軟調となると、日本株は過剰反応して米株以上に下がる。しかし、米国株が反発すると慌てて買い戻されるといった間抜けな展開が再三続いてきたが、今回もこのパターンだろう」。

週明けからまさにその通りになったが、週半ばから3日続落で結局、行ってこいという、またなんとも冴えない展開となっている。ただ、日経平均だけを見ていると非常に不甲斐ないように感じるが、日本株全体がそうかと言えば決してそんなことはない。

日本を代表する大型株はしっかりしている。TOPIXコア30と日経平均のパフォーマンス格差は年初来で6%超にも拡大している。

TOPIXコア30(白)日経平均(オレンジ)
出所:Bloomberg

TOPIXコア30はほぼ横ばいで高値圏を維持していると言えるだろう。

TOPIXコア30
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今日のような相場でも日立製作所(6501)を筆頭に、トヨタ(7203)やホンダ(7267)など自動車株、メガバンク、三菱商事(8058)などの商社株がしっかりだ。買われるものにはしっかり買いが入っている。
エーザイ(4523)とファストリ(9983)と半導体関連株の影響で日経平均の下げがきつく見えるが、TOPIXはほぼ変わらずだ(午後2時現在)。

そうは言っても日本株の沈滞ムードは避けられない。オリンピックの開幕まであと1週間となったが、東京都の感染者数は増加の一途だ。それなのにワクチンの供給は減っている。日本経済新聞社の調査では主要自治体の7割が「予約を停止・制限」と回答した。希望する全住民の接種完了時期も、政府目標に沿った「11月末まで」は3割にとどまったという。これでは先行きの希望もしぼんでしまう。この国の行政システムのダメさ加減には何度も嘆息してきたが、またしても、である。

今週、メジャーリーグのオールスター戦の前夜祭として行われたホームラン・ダービー。大谷翔平選手は惜しくも1回戦で敗退したが素晴らしい戦いぶりを見せてくれた。スタジアムにつめかけた満員の観衆も大きな声援を送っていた。誰一人、マスクをしていない。メジャーリーグを生で、スタジアムで、マスクなしで大勢のひとが楽しめる。そんな状況になっている。一方、我が国ではすったもんだの末に開幕にこぎつけた五輪は無観客。この彼我の差が株価の差だろう。

なんとも厭世的な気分になるが、それでも今週、収穫がなかったわけではない。パウエル議長の議会証言だ。テーパリングを始めるための条件には「まだ遠い」と断言した。時期尚早に動けば間違えかねないとも話した。他のメンバーがタカ派的になるのを抑えられるかが問題ではあるが少なくともパウエル議長のスタンスは変わっていないことが確認できた。

7月19日週から3月決算企業の4-6月期決算発表が開始、注目は日本電産

来週からいよいよ3月決算企業の4-6月期決算発表が始まる。まずは日本電産(6594)に注目したい。株価は200日移動平均をサポートにきれいな右肩上がりだ。決算発表を機に上放れるか。

日本電産(6594)日足チャート 200日移動平均(黄)
出所:Bloomberg

その次は200日線を既に放れ、25日線をサポートに右肩上がりになっているキーエンス(6861)が続く。こちらも2月の高値をうかがう勢いだ。繰り返すが、買われる銘柄にはしっかり買いが入る。今後はますます選別色が強くなるだろう。

キーエンス(6861)日足チャート 200日移動平均(黄)25日移動平均(ピンク)
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