水曜までの急落は、コロナ禍がなかなか晴れない閉そく感を表しているような、不快で嫌な感じのする下げだった。だが、目先は底入れと見ていいだろう。理由は3つある。

下値が固まったことによる不安心理の後退

1つは一気に2万8500円まで下げ、そこから反発したことで、かえって2万8500円がボトムであることの認識が広まった。日経平均のチャートを見ると明らかな通り、2万8500円が下値になったのはこれで3度目だ。下値が固まれば不安心理も後退する。朝方は大きく下げる場面もあったが終値では2万9000円台を昨日に続いて上回った。

日経平均株価(日足)
出所:マネックス証券投資情報サイト

22日に決算を発表した銘柄に対するマーケットの反応

2つ目は昨日決算を発表した銘柄に対するマーケットの反応だ。日本電産はCEO交代というインパクトのある材料が出たので大幅安は仕方ないが、それでも安値からは戻した。ディスコも4~6月期の連結純利益が前年同期比34%増の87億円とアナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサスには届かなかったことから、売り気配で始まったが、しっかり陽線となった。圧巻はオービックで、朝方売られたがプラスに転換、安値18,730円から20,200円まで1,500円超の値幅での大陽線となった。オービックが22日に発表した2021年3月期の決算は、純利益が8%増の380億円だった。9期連続で最高益を更新した。ただ今期純利益が5%増の400億円との見通しを発表したためQUICKコンセンサスの422億円に届かず売りが先行した。しかし、10期連続増益には違いない。いいものはいい、という評価がじわりと広がり買い優勢となった。こうした値動きからは「安川電機ショック」は払しょくできたと判断していいだろう。

オービック(4684)日足
出所:マネックス証券投資情報サイト

緊急事態宣言の発出

3つ目は緊急事態宣言の発出である。政府・自治体の対応は後手後手に回るので、宣言が出されたところがコロナ感染拡大のピークに一致する。昨年の1回目は4月7日に発出されて数日後にピークを迎えた。年初の2回目の時は、まさに宣言が出された1月8日が感染者数増加のピークであった。今回も早晩、ピークアウトして感染者数は減少に向かうだろう。そうなれば多少なりとも相場にプラスだ。

陽性者数
出所:厚生労働省ホームページより