ちょうど半年前のレポートで、マネックスのチーフ・ストラテジストに就任して丸10年、ということを述べた。10年前に出した「ストラテジーレポート」第1号で語っていることがまったく今の状況に合致していて、10年経っても変わらないことに驚くと書いた。その「ストラテジーレポート」第1号ではこうも述べている。

<ここまで読み進められて来られた読者の中には、「これは株式のレポートではないのか?」「広木というのは債券のストラテジストか?」という感想を持たれた方もおられるのではないか、というぐらいに債券のことばかり述べてきた。タイトルにもあるように「日本株は上昇する」ということを説明するためのレポートなのだが、初回とあって説明が冗長で恐縮ながら、もう少しお付き合い願いたい。「日本株は上昇する」ということを説明するためには、日本株のマーケットを動かしている要因は何なのか、ということを説明する必要がある。 

1)日本はグローバル景気依存(内需が弱く外需主導の経済)であることから日本株のパフォーマンスはグローバル経済に左右される。  

2)グローバル経済の中心は米国。従って、米国経済の「体温計」である米国金利との連動性が極めて高い。ところどころ乖離するところもあるが、その趨勢は同じである。>

と述べて、TOPIXと米国10年債利回りのチャートを掲載した。その後10年経った。アップデートしておこう。金利の水準が変わると株価との連動性が見えにくくなるので、90年代、2000年代、2010年代と10年刻みに表示したのが下記のグラフである。

TOPIX(ピンク)と米国10年債利回り(緑)
 
 
出所:Bloomberg

今週水曜日にBSテレビ東京の「日経プラス10」に出演し、金利上昇と株価の話をした。その時は資料を用意するのが面倒だったので、3月10日付け日本経済新聞の「スクランブル」で川崎健さんが使っていた米実質金利とMSCIジャパンをMSCIワールドで割った日本株の相対株価チャートを出したけれど、そんな凝ったことをするまでもない。単純に米国10年債利回りとTOPIXを重ねるだけでいい。

米国金利上昇は日本株にプラスである。10年前から言っていることだ。