90日MAを上抜けてきた米ドル/円
先週、『米ドルが買われやすい「本当の理由」』(1月29日付け)というレポートを書いたが、その後も米ドル高が全面的に広がっている。その中で米ドル/円も、半年以上ぶりに90日MA(移動平均線)を大きく上回ってきた(図表1参照)。テクニカルで考えると、これは米ドル高の余地が急拡大した可能性が高いことを示している。
【図表1】米ドル/円と90日MA(2020年4月~)
これをもたらした主因は、米ドル「売られ過ぎ」の反動だろう。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジションは、記録的な売り越しとなっていた(図表2参照)。「記録的な売り越し=売られ過ぎ」、その反動に伴う米ドル買いが強まり、その上でテクニカルに重要な水準もブレークしたことでさらに米ドル買い戻しが広がりやすくなったということではないか。
【図表2】CFTC統計の投機筋の米ドル・ポジション(2017年~)
このような米ドルの「売られ過ぎ」は、昨年9月にかけてもあったが、当時の米ドル買いは限定的にとどまった。そして今回との違いの1つに、金利差との関係があった。米ドル/円よりユーロ/米ドルなどで見るとわかりやすいが、昨年9月頃は金利差が示す水準より米ドル高圏での推移だった(図表3参照)。米ドル買い戻しが限定的だったのは、高過ぎる米ドルの買い戻し余地が限られたことが一因だったのではないかと推測する。
【図表3】ユーロ/米ドルと独米金利差(2019年1月~)
これに対して、足元ではユーロ/米ドルで見た場合、金利差でほぼ正当化される水準となっている。こういった中では、「売られ過ぎ」の反動の米ドル買い戻しも入りやすくなっているのではないだろうか。