2017年12月からの暴落との類似

為替相場の小動きを尻目に、先週にかけて大きく動いたのが暗号資産だった。年明け4万ドルの大台を大きく上回るまで急騰したビットコイン(BTC)/米ドルは、先週は3万ドルまで暴落。この間の最大下落率は3割近くとなった(図表1参照)。これは、2017年12月から広がった暴落以来の動きだ。

【図表1】BTC/米ドルと90日MA (2017年1月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ところで、そんな2017年12月からのBTC暴落においては、その後株も急落し、それに連れたと考えられるが為替相場でも急激な米ドル安・円高が起こった。では今回はどうか?

それにしても、なぜ年明けからBTC暴落となったのか。「きっかけ」はともかく、基本的には「上がり過ぎ」の反動ではないか。BTCの90日MA(移動平均線)からのかい離率を見ると、昨年12月下旬から継続的にプラス50%以上に拡大すると、年明けにはプラス100%以上に拡大した(図表2参照)。ただ、経験的には、同かい離率のプラス50%以上の「滞空時間」は短かった。

【図表2】BTC/米ドルの90日MAからのかい離率 (2017年7月~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

ちなみに、2017年は11月中旬から同かい離率が継続的にプラス50%以上に拡大したが、20日目にかい離率プラス160%程度で拡大ピークアウトとなった。今回は、昨年12月下旬から同かい離率がプラス50%以上に拡大したが、これまでのところ14日目にかい離率プラス110%程度で拡大ピークアウトとなっている。

以上から考えられるのは、BTCも、90日MAを50%以上も上回るのは「上がり過ぎ」で、それは1ヶ月以内にピークアウトする可能性が高かったということではないか。ちなみに、2017年12月からのBTC暴落局面では、天井を打ってから20日程度でかい離率はプラス50%を割り込み、そして40日程度で90日MA割れとなった。

じつは、今回、天井を打った日からこれまでのところ14日後にかい離率はプラス50%割れとなった。2017年12月からの暴落局面のように、天井を打った日から40日程度で90日MA割れへ向かうなら、2月末までに3万ドルを大きく割り込んでいくといった見通しになる。

ところで、2017年12月からのBTC暴落では、BTCが90日MAまで下落する中で、米国株も下落に向かい出し、NYダウはその後10%以上の下落が起こった(図表3参照)。そんな米株安を前後し、為替相場でも米ドル安・円高となったが、株安に連れた面が大きかったのではないか(図表4参照)。

【図表3】NYダウの推移(2017年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
【図表4】米ドル/円の推移 (2017年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

なぜ、こんなふうに2017年12月からのBTC暴落が、その後株安・円高をもたらすところとなったのか。それは、BTC暴落で損失が出た投資家が、資金の捻出のために他の市場で利益確定に動いた影響ではなかったか。その意味では、暗号資産の下落がさらに拡大するようなら、他の市場にも影響が波及する可能性は注目する必要があるのではないか。