まず目先の重要イベントは1月5日の米ジョージア州上院議員選の決選投票だ。米大統領選後の株高は、大統領と下院が民主党でも上院が共和党というねじれ状態では大規模な財政政策が打ちにくく、財政悪化や金利の急上昇が抑制されることを好感した面がある。2議席を民主党が獲得すると上院も民主党が事実上制することになり、このシナリオが崩れる。ホワイトハウス、上下両院が民主党で占められる「トリプル・ブルー」となって増税や規制強化といったリスクが再浮上、市場心理を悪化させる恐れがある。

ただし、株式市場は当初は「トリプル・ブルー」を歓迎していた。その後の情勢変化で「トリプル・ブルー」シナリオが消滅すると、それに合わせて都合よく相場上昇の理由を「後付け」したに過ぎない。よってジョージア州の決選投票で仮に民主党が上院を制することになっても、変わり身が速く、ご都合主義のマーケットのことだ、そう深刻な調整にはならないだろう。最高値での推移が続いているだけに、利益確定売りの口実にされる程度の話で終わるだろう。

結果もさることながら市場がより嫌うのは結果の判明が遅れそうなことだ。ブルームバーグ・ニュースは、「投票者数が過去最高に迫りそうな同州の上院議員選決選投票も僅差での決着となる見通しで、結果判明が遅れ、上院の主導権を握るのが民主、共和どちらの党になるのか分からない状況がしばらく続くことになりそうだ」と報じている。11月の選挙同様に、投票日の夜は共和党候補有利で開票が進む可能性が高く、それから郵便・不在者投票が加えられ、民主党候補の得票が増えると見込まれている。こうした事情から、新年初めの週は高値圏でのもみ合いでの推移が予想される。

米国では好材料もある。追加経済対策の600ドルの給付が迅速に行われ、すでに銀行口座に給付金が入金済みだという。新年1月はニューマネーの流入で相場が上昇することが多く「ジャニュアリー・エフェクト(1月効果)として知られるアノマリーだが、今年は文字通りの「ニューマネー」が政府から配られている。こうした資金の一部が株式市場に流入し相場の追い風になりそうだ。

国内での焦点は緊急事態宣言の発出だ。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京都の小池百合子知事と神奈川、千葉、埼玉3県の知事は2日午後、新型コロナ対策を担当する西村康稔経済再生相に緊急事態宣言の発出を速やかに検討するよう要請した。菅首相は4日に年頭の記者会見に臨み、新型コロナウイルスの対処方針を説明する。首相は感染防止と経済の両立を訴え再び緊急事態宣言を出すことに慎重な姿勢を示してきた。感染拡大防止は待ったなしの状況だけに緊急事態宣言の発出に踏み込むのか注目される。

ただ、前回緊急事態宣言が出された昨年4月上旬から解除された5月下旬まで、日本株は堅調に上昇基調を辿っていた。緊急事態宣言による経済停滞は痛みだが、思い切った措置により感染拡大を封じ込める期待が優ったからだろう。今回も同様の市場心理となり、相場の悪材料ではないだろう。

今週の予想レンジは2万7000円~2万8000円とする。