来年、株価は上がるだろう。コロナで苦しんだ今年よりは良い年になるだろうからだ。ワクチンもできるだろう。景気も業績も、今年よりは良くなるだろう。であれば株価は上がるだろう。

過去50年間(1970年~2019年)で日経平均が年間で上昇した年は32回あり、その平均上昇率は約20%だった。

内閣府の「景気動向指数研究会」は、2012年12月からの景気の拡張期は18年10月に「山」(ピーク)を付けたと認定した。一方、日経センターが7月末から8月上旬に実施したアンケート調査で、33人の民間エコノミストのうち28人が景気の「谷」は5月だったと答えた。

仮に5月が「谷」なら景気後退期間は19ヶ月。長いこと景気は後退局面にあり、コロナショックで大幅に下振れた4-6月は「最後のトドメ」みたいなもので、逆にそれがあったので一気に大底をたたきにいったようなものだ。つまり、いまは「景気後退は終わっている」のである。景気後退が終わっているなら、いまは景気拡大期に入っているということになる。
過去50年間で日本の景気循環における景気の谷は9回認識されているが、景気が底をつけた翌年の日経平均の変化率を平均すると22.5%であった。来年は「景気が底をつけた翌年」となるのはほぼ間違いない。

上昇相場では日経平均は年20%は上がる。「景気が底をつけた翌年」の日経平均のリターンは22%だった。

これらの点から上昇相場を見込むこのシナリオでは2021年の日経平均の上昇率を20%と仮定する。2020年末の終値を2万5000円と想定し20%の上昇率を当てはめると2021年の年末の株価は3万円が期待できる。

日経平均の今期予想EPSは1080円で、前期実績(1340円)対比2割の減益予想だ。4-9月期の決算をそのまま反映した格好である。一方、来期の純利益はクイックコンセンサスで今期予想対比45%の増益予想になっている。これを当てはめれば来期予想のEPSは1560円になる。今の来期予想が「今期予想」に切り替わる来年5月にはこの数字が見えてくる。その時点でPERは下がるだろう。しかしコロナの収束期待と並行してPERも切り上がるだろう。低金利と過剰流動性が高いバリュエーションを許容する。1560円のEPSをPER20倍で評価すれば日経平均は3万円を超えてくる。