「ワクチンニュースでバリュー株とグロース株の資金移動が顕著な印象です。バリュー優位が続くか?これは一時的でグロースの押し目とみるか?」一昨日のマーケット・トークではこのような質問が相次いだ。結論を先に言ってしまうと、このようなバリューの復活は長続きはしない。逆に言えば、グロースの良い押し目買いのチャンスである。しかし、バリューが見直されて買い戻される相場はこれからもっと頻度が増えるだろう。つまりはバリューとグロースの物色は行きつ戻りつ、循環しながら相場全体の底上げが図られるイメージだ。

急落したマザーズ指数は一目均衡表の雲の上限がサポートになっている。ザラ場で雲の中に入っても陽線で引けには抜け出る。非常に強い動きだ。

出所:Bloomberg
QUICKコンセンサスDI
出所:QUICKデータよりマネックス証券作成

最初に回復したのは情報通信で、すでに8月の時点でプラスに転換している。情報通信はコロナの影響を受けにくい企業が多く、むしろDXの推進でビジネスが伸びる企業がたくさん含まれている。ZHD(4689)、NRI(4307)、NTTデータ(9613)、OBIC(4684)などだ。その後、電機が9月に、そして10月末時点では小売りがプラスに浮上した。また機械が38ポイント改善しゼロとなりマイナスを脱出した。実は年初来の株価パフォーマンスも概ねこの順番にならんでいる。唯一の大幅乖離は不動産で、DIは改善してゼロと、マイナスを脱したのに株価は低迷したままだったが、今週の内需・景気敏感株のリバウンドでだいぶキャッチアップした。それでもまだ株価の修正余地があるだろう。

トータルリターン比較 情報通信(緑)、小売(橙)、不動産(白)、機械(赤)、電機(黄)
出所:Bloomberg

今回のバリュー/グロースのスウイングの中で、はっきりしたことがある。村田製作所(6981)を筆頭とする電子部品株の強さだ。5Gやデジタル化の世の中を支える重要な黒子で、日本がもっとも強み持つ分野と言えるだろう。株価のトレンドがまったく崩れない。村田製作所に日本電産(6594)、TDK(6762)の3社が御三家だ。押し目があれば拾いたいが、押し目待ちに押し目なしを地で行く展開だけに難しい。

村田製作所(6981)
出所:マネックス証券投資情報サイト
日本電産(6594)
出所:マネックス証券投資情報サイト
TDK(6762)
出所:マネックス証券投資情報サイト
 

別のストーリーだがOLC(4661)の強さも破格だ。この業態、この業績にもかかわらず上場来高値更新である。コロナ終息後の世界をいかに大勢のひとが待ち望んでいるか。それを告げてくれるような株価の動きで、こういうのを目にすると心の底からうれしくなる。

OLC(4661)
出所:マネックス証券投資情報サイト