今日の東京市場で良品計画(7453)が急騰している。一時、前日比262円(14.6%)高の2055円まで上昇し、1月23日以来およそ8カ月半ぶりの高値を付けた。昨日発表した決算で6~8月期の営業損益は37億円となり、3~5月期の28億円の赤字から黒字に転換した。課題となっていた過剰在庫が改善していることもポジティブに評価された。

このところ、小売株のアウトパフォーマンスが目立ってきた。

小売業(白)とTOPIX(オレンジ)のトータルリターン比較(6カ月)
出所:Bloomberg

イオン(8267)が7日発表した2020年6~8月期の連結決算は、最終損益が35億円の赤字で3~5月期の539億円の赤字から大幅に縮小した。ファミリーマート(8028)も事業利益は31%減の321億円で3~5月期の54%減89億円から減益幅が縮小した。上方修正に踏み切る企業もある。ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(3222)では主力のマルエツやカスミなどの食品スーパーで生鮮品や総菜、調味料などの需要が旺盛で通期の営業利益の見通しを100億円から160億円へと上方修正した。ウエルシアホールディングス(3141)も通期の営業利益予想を388億円から433億円に引き上げた。

当たり前と言えば当たり前だ。3~5月期は緊急事態宣言の最中。小売業は大幅に業績が落ち込んだ。緊急事態宣言解除後の6~8月期に業績が改善するのは目に見えていた。

従来から述べている通り、コロナの不況は供給ショックだ。需要が消失したわけではないので供給が正常化すれば経済活動はペントアップディマンドもあって強く戻る。これは下旬から始まる3・6・9・12月決算企業の4-9月期決算発表でも同じことが起きるだろう。9月末時点のQUICKコンセンサスDIは、金融を含む全産業ベースでマイナス13と、前月のマイナス32から19ポイント改善した。改善は3カ月連続だ。電機セクターのDIが2018年9月以来2年ぶりにプラスに転じた。今度の決算発表では4-6月が業績のボトムだったことを確認し、7-9月のV字回復が続出するのはほぼ間違いない。それを受けた日経平均は2018年10月につけたバブル崩壊後の戻り高値2万4270円を超えるだろう。

IMF(国際通貨基金)のゲオルギエバ専務理事は6日に行われた講演のなかで、来週公表する今年の世界成長率の予測について、従来のマイナス4.9%から上方修正すると表明した。中国の回復ペースの上振れや、各国の財政出動や金融緩和で、世界経済の回復が想定を上回ったためとしている。これに加え、米国の追加景気対策がまとまる可能性が出てきた。すでに足元では景気敏感株が物色される展開が続いてきた。海運、鉄鋼、非鉄金属、ゴム、ガラス・土石といった素材関連株が上昇率上位に並ぶ。今後は機械など製造業にも波及するだろう。今日引け後に発表される安川電(6506)の決算発表次第だが来週はファナック(6954)、SMC(6273)、日立建機(6305)など中国関連の機械株が物色されるだろう。