対円と対米ドル、「2つの顔」の豪ドル
吉田恒の為替デイリー
- 吉田 恒
- マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティ FX学長
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大手の投資情報ベンダーの編集長、社長等を歴任するとともに、著名な国際金融アナリストとしても活躍。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊、2016年トランプ・ラリーなどマーケットの大相場予測をことごとく的中させ、話題となる。
機関投資家に対するアナリストレポートを通じた情報発信はもとより、近年は一般投資家および金融機関行員向けに、金融リテラシーの向上を図るべく、「解りやすく役に立つ」事をコンセプトに精力的に講演、教育活動を行なう。
2011年からマネースクエアが主催する投資教育プロジェクト「マネースクエア アカデミア」の学長を務める。2019年11月より現職。
書籍執筆、テレビ出演、講演等の実績も多数。
<主な著書>
「投資に勝つためのニュースの見方、読み方、活かし方」(実業之日本社)
「FX予測のプロフェッショナルがついに書いた!FX7つの成功法則」(ダイヤモンド社)
「アノマリーで儲ける!FX投資術」(双葉社スーパームック)
「これから来る!「超円安」・「超株高」の本命シナリオ」(カンゼン)
「そうだったのか!FX大相場の真実」(ビジネス社)
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・豪ドルは、過去一ヶ月余り大きく反発した。ただ、購買力平価との関係で見ると、対米ドルではなお「下がり過ぎ」圏、対円では「中立」圏と、大きく異なる。
購買力平価との関係で見る豪ドル/米ドルと豪ドル/円
3月下旬にかけて急落した豪ドル(オージー)だったが、その後は一転して大きく反発した。対円、米ドルともに、最大で2割近い反発となった。ただ、そんなオージーだが、購買力平価との関係などで見ると、対円と対米ドルではかなり違った構図といえそうだ。
2000年前後からの豪ドル/米ドルは、米豪の生産者物価で計算した購買力平価が基本的に下限となってきた(図表1参照)。その生産者物価の購買力平価は足元で1豪ドル=0.62米ドル程度。その意味では、一時0.55米ドルまで下落した豪ドル/米ドルは、かなり下がり過ぎの可能性があったわけだ。
一方で、豪ドル/円の生産者物価購買力平価は、足元でも1豪ドル=50円程度。最近にかけて70円まで反発したが、それは購買力平価との関係で見ると、下がり過ぎでも、上がり過ぎでもない、中立圏に戻ったといった意味になりそうだ(図表2参照)。
最初に述べたように、豪ドルは過去一ヶ月余り反発が続いてきたが、以上を見てきたように、購買力平価との関係で見ると、対米ドルではなお「下がり過ぎ」圏にあるのに対し、対円では「中立」圏といった具合に、客観的評価にはかなり違いがありそうだ。