購買力平価との関係で見る豪ドル/米ドルと豪ドル/円

3月下旬にかけて急落した豪ドル(オージー)だったが、その後は一転して大きく反発した。対円、米ドルともに、最大で2割近い反発となった。ただ、そんなオージーだが、購買力平価との関係などで見ると、対円と対米ドルではかなり違った構図といえそうだ。

2000年前後からの豪ドル/米ドルは、米豪の生産者物価で計算した購買力平価が基本的に下限となってきた(図表1参照)。その生産者物価の購買力平価は足元で1豪ドル=0.62米ドル程度。その意味では、一時0.55米ドルまで下落した豪ドル/米ドルは、かなり下がり過ぎの可能性があったわけだ。

【図表1】 豪ドル/米ドルと購買力平価(1973年~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

一方で、豪ドル/円の生産者物価購買力平価は、足元でも1豪ドル=50円程度。最近にかけて70円まで反発したが、それは購買力平価との関係で見ると、下がり過ぎでも、上がり過ぎでもない、中立圏に戻ったといった意味になりそうだ(図表2参照)。

【図表2】豪ドル/円と購買力平価(1990年~)
出所:リフィニティブ・データよりマネックス証券が作成

最初に述べたように、豪ドルは過去一ヶ月余り反発が続いてきたが、以上を見てきたように、購買力平価との関係で見ると、対米ドルではなお「下がり過ぎ」圏にあるのに対し、対円では「中立」圏といった具合に、客観的評価にはかなり違いがありそうだ。