米ドル/円とNYダウの関係

米ドル/円とNYダウなど株価との相関関係は、3月中旬から大きく崩れた。それまでの「株安=米ドル/円下落」、「株高=米ドル/円上昇」といった順相関から、一転して「株安=米ドル/円上昇」、「株高=米ドル/円下落」といった具合に、ほとんど逆相関の関係に変わった(図表1参照)。

【図表1】
出所:リフィニティブのデータよりマネックス証券が作成

これは、「コロナ・パニック」といった究極のリスクオフが広がる中で、基軸通貨である米ドル資金確保の動きが急拡大した影響が大きかったとの見方が有力である。このため、「株安(リスクオフ)→米ドル買い=米ドル/円上昇」になったというわけだ。

この現象は、米ドル/円とNYダウの相関係数の推移でも確認できる。両者の相関係数は、3月12日の0.82をピークに低下へ転じ、足元ではマイナス0.6まで低下した(図表2参照)。相関係数は、プラス1に近付くと、両者が「ほぼ同じように動いている」ことを示し、逆にマイナス1に近付くと「ほぼ正反対に動いている」ことを示している。

【図表2】
出所:リフィニティブのデータよりマネックス証券が作成

つまり、相関係数で見ても、米ドル/円とNYダウは、3月上旬までは基本的に「ほぼ同じように動いていた」のが、中旬以降は「ほぼ正反対に動き出した」ことが確認できたわけだ。

先週後半から、米ドル/円とNYダウは順相関に戻り始めた可能性

ただ、このような関係が先週後半頃から変わり始めた可能性がある。3月12~23日にNYダウが前日比下落となったのは5営業日で、そのうち4営業日で米ドル/円は上昇となった(逆相関)が、3月27日~4月1日では、NYダウが下落した3営業日に、米ドル/円は全て下落(順相関)となった。

米ドル/円とNYダウが逆相関になったのは、上述のように「超有事」である「コロナ・パニック」による米ドル資金確保の急拡大、つまり「超有事の米ドル買い」が主因と考えられた。再び両者の関係が順相関に戻り始めた可能性があるということは、「超有事の米ドル買い」が峠を越えた可能性を示しているのかもしれない。

「超有事の米ドル買い」が落ち着いた後は、FRB中心に供給を拡大した米ドル資金の「余剰」観が強まり、米ドル売りは急激に売られる可能性もあるとの見方が一部にあっただけに、その点も今後は注目される。