株高・円安は一時的なのか!?
3月25日付けレポートでも書いたように、米国株、NYダウの90日MA(移動平均線)からのかい離率は、最近にかけて一時マイナス30%以上に拡大した(図表1参照)。こんなふうに、同かい離率がマイナス20%以上に拡大したのは、2000年以降では、2002年前後、2008年前後の2回しかなかった。
ちなみに、前者はITバブル崩壊、そして後者はリーマン・ショックに代表された信用バブル破裂局面で、ともに米国株の継続的な下落、つまり中長期的な米国株安トレンドの最中だった。
こんなふうに、経験的には、短期的な行き過ぎは、中長期トレンドと一致することが多かった。たとえば、下落トレンドが展開しているからこそ、短期的にも勢い余って「下がり過ぎ」になるということだったのかもしれない。
以上を参考にすると、上述のようにNYダウが90日MAからのかい離理で記録的な「下がり過ぎ」になっているということこそ、中長期的なトレンドが下落(株安)に転換した可能性を示しているのかもしれない。
では、これを為替との関係でどう考えたらよいか。最近の経験から、確率の高かった関係は、「株安=円高」、「株高=円安」。これまで見てきたように、株高への戻りは一時的で、株安トレンドが展開しているなら、円安は一時的、円高トレンドが展開する見通しになる。
一時的か継続的(トレンド)かは、経験的に52週MAのダマシが少ない。その52週MAは、米ドル/円の場合、足元で108.7円程度(図表2参照)。以上からすると、あくまで株高・円安が一時的で、トレンドは株安・円高ということなら、経験的には52週MAを大きく、長く上回らない程度にとどまり、継続的に下がる見通しになる。
この場合の「大きく」は5%以上、「長く」は1ヶ月以上が1つの目安。それを参考にすると、米ドル/円は、一時的な株安・円高でも米ドル/円は114円前後がせいぜいで、むしろ4月中に109円をしっかり割れてくるといった見通しになる。