働き方が徐々に変わり、今では副業を持つことも珍しいことではなくなりました。自分の得意を仕事にするために、または、よりキャリアアップを目指すために自己投資にお金をかける人も増えてきました。
そのための資金作りや将来に向けた資金作りを目的に、自己流もしくは会社が勧めるがままに投資をしている人も少なくありません。
結婚を目前にしたKさんも、投資やお金の貯め方が今のままでいいかと悩まれています。
名前:Kさん(29歳 会社員)
手取り収入:月収19.8万円、ボーナス(年間)約85万円
貯蓄:預金210万円、株式投資100万円、従業員持株会320万円
【現在の状況】
・キャリアアップ目的で働きながら大学院に通い、学費があと130万円ほどかかる
・家計は年間では黒字だが、株式投資を始めたことで毎月4万円ほど赤字に
・大切な趣味があり、お稽古(月謝1.2万円)は削ることができない
・会社の従業員持株会は投資額に10%上乗せされるので、これでいいかなと思っている
・彼と入籍して小規模でもいいので結婚式を挙げたい
生活費は収入の中で納めることが理想
年間で見ると、ボーナスで余剰が出ているので貯金額は増えている状況にはあります。しかしながら、毎月が赤字になるとその赤字分をボーナスで補填するようになるので、だんだんとボーナスが残らなくなってしまうかもしれません。それは今後に向けてマイナスの要因です。
これから学費でお金がかかるのであれば、なおのこと、しっかりと結婚資金を残せるやりくりを身につけましょう。結婚後の生活を順調に送るためにも必要なことです。
お稽古は削れないというのなら、他の支出で削れるところを探しましょう。食費や水道光熱費は努力すると支出を下げられる、変動する支出です。しかし、いわゆる「気合次第でどうにでもなる」部分がある一方、やる気が出ない時にはリバウンド状態になりやすいもの。
そうであれば通信費や生命保険料、その他、月に一度決まった金額を支払うような固定費の見直しをしてみましょう。契約の見直しなどで支出を下げられれば、その削減効果は長い期間続きます。
もし、生活費を見直して支出が下がらなければ、投資額が妥当かを検討し、場合によっては減らすことも考えていきましょう。
学費を払った後、貯金額は生活費7.5ヶ月分を目標に早期の回復を
学費を払えば貯金は80万円。結婚しようと考えるにはちょっと少ないと感じます。結婚には式費用、新居費用が最低限かかるでしょうし、新婚旅行などに行くと、もっとかかります。彼がどれだけ負担してくれるかにもよるかもしれませんが、もう少し現預金で持っておきたいところです。持ち株は売るときに制限があるかもしれませんし、株式投資している部分も手放してもよいと判断できるかどうか、というところがあります。
貯金の目安は、毎月の生活費の7.5ヶ月分です。Kさんは赤字部分が解消できれば、月の投資額を含めた生活費は20万円程度と考えてよいでしょう。そうであれば、150万円が生活を維持するために必要な貯金額の目標です。
一時的に貯金を結婚資金として使っても、家計を黒字に改善させて、貯金を元に戻せる体制を作っておければ、安心です。
従業員持株会だけでなく分散投資も
会社の株を購入している人は多いもの。Kさんの会社のように投資額に10%上乗せがある等というメリットも大きいですし、自社の株だから持っていたいという人もいるでしょう。
まず忘れてはいけないのは、制度としては優遇されているかもしれないけれど、個別株を持っていることには変わらないということ。リターンも期待できれば、リスクもそれ相応にあるのです。通常の個別株が変動するのと同じように、業績により株価は動きます。
まして、自社株購入の過多状況で仮に自社の業績が悪くなると、自分の資産(自社株の評価減)と、給与面での不安とダブルパンチになる可能性もあります。もちろん、その逆もありますが、リスク(不確実性)は増すのです。
分散投資をすれば自社の業績変動による影響を少なくできるでしょうが、分散投資を個別株だけでやろうとすると、かなりのお金がかかってしまいます。
こう考えると、投資信託などの簡単に分散投資ができるものへ投資することにも意味があります。投資信託は保有するにあたり手数料がかかりますが、毎月積立をし、長期保有をすると複利の効果が得られます。そのようなことからも、結婚後、夫婦の将来の資金を作るには適している投資商品です。仕事をしていて、これから育児等で忙しくなる人にはより向いている投資商品といえます。