NYダウ急落、週明けの大幅安は避けられないが、その後どこまで戻せるか

今週の日本株相場は、3連休明けは大きく下落して始まり、その後戻すような展開を予想する。欧米株が大幅安となり、世界同時株安の様相だが、欧米株は先週まで高値更新が続いていた。それが一気に調整色を強めただけであって、ずっと新型コロナウイルス感染拡大で調整してきた日本株とは本来事情が違う。ただ、今日はそんなことを言っても無駄だろう。まずは投げ売りに巻き込まれて日経平均は2万2000円割れも視野に入る。終値で200日線(2万2200円弱)の水準でとどまれるかが、ひとつの下値めどだ。

その後、落ち着きを取り戻すと思う。当初から、ブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ氏などは相場の過剰反応を指摘していた。

実際のところ、「終息の兆し」は見え始めている。22日の日経新聞は、「中国の感染 二極化」という記事を載せた。記事は、「北京や上海など多くの地域では感染者数が減少傾向にある。新型肺炎が広がる間際に強力な移動制限を打ち出したことや、医療体制がパンクした湖北省より治療成績が良好なことが背景にある」と報じている。このような報道が徐々に伝わるにつれ、不安心理も後退していくだろう。

国際通貨基金(IMF)は、G20の会議の場で、今年の中国の実質成長率見通しを5.6%とし、1月時点から0.4ポイント下方修正した。しかし、足元は強烈なマイナス成長になることは間違いないだろうから、それで通年で5.6%成長というのは、この先の劇的なV字回復を見込んでいるということだろう。

そのV字回復期待をもっとも強く示唆しているのが上海総合の動きだ。3000ポイントの大台を回復、春節明けの急落をすべて埋め戻し、米中通商合意でつけた高値をうかがう勢い。上海株市場は、もはやコロナ肺炎の懸念は乗り越えて、この先の回復を見据えているような節がある。

立ち直りのカギは米国株だ。PMIの下振れは、新型肺炎の影響、すなわち一過性のもので、米国経済の基調は強い。早晩また高値をつけてくるだろう。ネバダではサンダース氏が勝ったが、これも実は米株の追い風となる。サンダース氏ではトランプ氏に勝てないという見立てが優勢だからだ。米国株が急落したのでサンダース氏勝利まで急落の原因にされたが、見方が違うと思う。

日本株の上値が重いのは、金融機関による決算対策売りで毎度この時期の年中行事である。やはり、諸々春までかかるが、逆に言えば春になってこれら悪材料がなくなった後の浮揚力は大きい。それをどれだけ前倒しで織り込んでくるかが焦点になろう。

中国PMI発表を前にした警戒売りも

もう一度、今週の見通しに戻れば、今週は大幅安で始まり、その後、米国市場の堅調さなどから日本株相場も戻し、週末やや下げて終わるような展開か。29日に中国のPMIが発表される。おそらく、とんでもなく悪い数字が出るだろう。それを警戒して金曜日は再度売りがかさむリスクに備えたい。

予想レンジは2万1900~2万3000円とする。