米国の主要な株価指数が軒並み最高値更新となるなど、リスクオン(リスク選好)ムードが広がってきました。では、リスクオン局面で有効なFX投資戦略について、今回は考えてみたいと思います。

リスクオンでのFXの投資戦略を考える上で、そもそも過去の代表的なリスクオン局面で為替相場にはどのような特徴があったか、少し調べてみました。

比較的最近のリスクオンは、2013-2014年中心に展開した「アベノミクス」でしょう。この中で、「安全資産」の代表格とされる円は、総合力を示す実効相場で見ると最大で25%程度の下落となりました(図表1参照)。リスク選好局面では安全資産は売られるといった、ほぼ予想通りの展開だったでしょう。

【図表1】

 

ところで、その前の代表的リスクオン局面は、リーマンショックなど歴史的なリスクオフ局面が起こる前夜、「信用バブル」と呼ばれた2006-2007年夏にかけての局面でしょう。この局面でも円の実効相場は最大で10%程度の下落となっていました。以上のように見ると、リスクオン局面では、「安全資産」の円が売られる可能性はやはり高かったようです。

ところで、このリーマンショック前夜、2006-2007年夏の局面では、じつは米ドルの総合力を示す実効相場も最大7%程度の下落となっていました。そして、「アベノミクス」、2013-2014年でも、米ドル実効相場は2014年後半に上昇に転じたものの、その前までは下落傾向となりました。

以上から想像できるのは、リスクオン局面では、代表的な「安全資産」の円が売られるだけでなく、かつて「有事の米ドル買い」といった言葉があったように、基軸通貨の米ドルには「安全資産」の側面もあるため、リスク選好局面では売られやすい可能性があるということです。

ということは、リスクオン局面では、円と米ドルがともに売られ、円と米ドルの同時安が起こることが基本ではないでしょうか。円安なら、対円での外貨の取引、クロス円は上昇、そして米ドル安なら、対米ドルでの外貨の取引、ドルストレートも上昇する可能性が高いでしょう。

そして、円売りと米ドル売りでは前者が強くなりそうですから、米ドル/円も上昇する可能性が高いでしょう。つまり、リスクオン局面では、米ドル/円、クロス円、ドルストレート、要するに基本的には全て上がる可能性が高いと考えられます。

上がるなら、もちろん「買い」が有効です。そして、「買う」なら、それに適性のある通貨を探すのが次の課題になります。「買い」に適性のあるのは金利が高い通貨、その上で、上がるポテンシャルが高く、下がるポテンシャルの低い割安感のある通貨ということでしょう。

逆に、「買い」に不向きなのは、基本的には低金利通貨、そして割高感のある通貨でしょう。低金利通貨の代表はユーロ。一方、8月頃までリスクオフで円高、米ドル高が目立ったこともあり、米ドル/円、クロス円、ドルストレートの中で、割高懸念が強い通貨はなさそうです。