1.概況
本日の日本市場は米国株高を好感して3日続伸となりました。米雇用統計の結果を受けてナスダック総合株価指数が史上最高値を1カ月半ぶりに更新するなど先週末の米国市場が大幅高となったことから356円高の21,826円でスタートした日経平均はさらに上げ幅を広げ取引開始から25分後に501円高の21,971円まで買われました。しばらくは21,900円台で推移した日経平均ですが、10時半ごろから弱含むと森友学園に関連した財務省決裁文書の書き換え問題で、決裁文書から安倍首相夫人や複数の政治家の名前が削除されていたと伝わったこともあって後場に入って14時前には220円高の21,689円まで上げ幅を縮めました。麻生財務相が14時過ぎの会見で辞任を否定したこともあってその後持ち直した日経平均は結局354円高の21,824円で取引を終えています。東証33業種は全業種が上昇し、機械やゴム製品、鉱業などの上げが目立ちました。新興市場はまちまちで日経ジャスダック平均が3日続伸となる一方で、東証マザーズ指数が3日ぶりに小幅反落となっています。

2.個別銘柄等
東京エレクトロン(8035)が3.1%高となりました。先週末の米国市場でフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が連日で高値を更新したうえ、世界の半導体大手による最高水準の設備投資を受けて日本の半導体装置メーカーが増産投資を継続するとの報道もあって半導体関連が買いを集めました。SCREENホールディングス(7735)とアドバンテスト(6857)も一時3%以上上昇する場面がみられました。また、鳥貴族(3193)が急伸し10.2%高となりました。先週8日には2月の既存店売上高が前年同月比6.0%減少したことで8.0%安と大きく売られましたが、先週末の取引終了後に発表した中間決算で営業利益が前年同期比5割増と大幅増益となったことで買戻しの動きが顕著となりました。マキタ(6586)も5.9%高と大きく上げました。外資系証券が投資判断と目標株価を引き上げたことが好感されました。一方で日本駐車場開発(2353)が3.8%安となりました。第2四半期6カ月間累計の営業利益は前年同期比8.4%増となりましたが、 第2四半期3カ月間でみると同5.0%の営業減益となったことが嫌気されました。

【VIEW POINT: 明日への視点】
先週末に一時500円以上上昇しながら失速し100円余りの上昇に止まった日経平均は、本日も280円余りも上げ幅を縮める場面がみられました。上値の重さが意識される展開がみられる日経平均ですが、しかし本日は先週末と違って終値で超えられなかった25日移動平均線(21,694円)をしっかりと上回って引けたうえ、同線がサポートともなっています。こうしたなかでナスダック指数が高値を更新するなど米国市場の戻り歩調が鮮明となりつつあることもあり日本市場でももう一段の戻りを期待したいところです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)