1.概況
本日の日本市場は3日続伸となりました。税制改革法案が米上院本会議の採決で成立する可能性が高まったとして昨日の米国市場でダウ平均が今年最大の上げ幅となり、史上最高値を連日で更新したことを受けて日経平均は191円高の22,916円で寄り付きました。まもなくして日経平均は上げ幅を270円高近くまで広げましたが、節目の23,000円を前に上値を押さえられると急速に上げ幅を縮め10時前には小幅なマイナスに転じました。その後、日経平均は昨日終値を挟んで小幅に揉み合うと前場をほぼ横ばいで終えました。後場に入ると日経平均は13時半過ぎから再び上げ幅を広げ14時前に156円高まで持ち直しましたが、22,900円を超えて先月7日に付けた年初来高値(22,937円)を試す動きとはならず、引けにかけてやや上げ幅を縮めると結局94円高の22,819円での大引けとなりました。こうしたなか新興市場も堅調で、東証マザーズ指数が3日続伸となったほか、日経ジャスダック平均も反発となっています。
2.個別銘柄等
グロース株からバリュー株に乗り換える流れに乗りJFEホールディングス(5411)と三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)がともに一時2%超上昇し年初来高値を更新しました。引けはJFEホールディングスが1.6%高、三菱UFJフィナンシャルグループが0.8%高となっています。一方でグロース株を売る流れのなか連日で売りが続いていた半導体関連銘柄には反発するものもみられましたが、本日も上値の重い展開でした。昨日までの4日間で11%余りの下げとなっていた東京エレクトロン(8035)は一時2.5%高まで買われましたが、マーケットが弱含むとマイナスとなる場面もあり引けは0.2%高に止まっています。SCREENホールディングス(7735)や昨日に9日ぶりの反発をみせたアドバンテスト(6857)は下落し、SCREENホールディングスは0.5%安と5日続落となり、アドバンテストは1.3%安と反落となっています。材料が出たところでは、人材派遣大手が相次ぎ一般事務派遣の料金の引き上げに乗り出すとの報道を受けてパソナグループ(2168)が15.4%高と急伸しました。リクルートホールディングス(6098)も一時4.4%高まで買われたほか、パーソルホールディングス(2181)も2.9%高まで買われましたが、引けはリクルートホールディングスが1.0%高、パーソルホールディングスも0.5%高となっています。シャープ(6753)も東証が7日付で市場第1部に指定すると発表したことで7.9%高となっています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
朝方に先月7日に付けた年初来高値を上回り節目の23,000円に後一歩まで迫った日経平均ですが、米上院での税制改革法案の採決が延期される見通しと伝わると失速してしまいました。高値更新での師走相場入りとはいきませんでしたが、先月16日に25日移動平均線にタッチし切り返す展開となった後、終値でなかなか抜けなかった先月9日の高値と16日の安値の半値戻しの水準(22,677円)を昨日上回ってきただけに来週以降の高値更新に期待したいところです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)