52週MAで考える米ドルの戻り高
米ドル/円は1月に一時127円台まで下落し、足元で133円程度の52週MA(移動平均線)を先週まで5週連続で下回った(図表1参照)。このように52週MAを1ヶ月以上といった具合に「長く」米ドル安・円高方向にブレークした動きは、経験的には一時的ではなく、継続的なトレンドとして展開している可能性が高い。今さら言うまでもないだろうが、2022年10月に起きた151円からの米ドル安・円高は、普通なら1~2年以上続くトレンドとして展開している可能性が高いだろう。
ただし、相場なので一時的にトレンドと逆行した動きが起こることはあり、今回の場合なら、それは米ドル高・円安ということになる。こうした一時的な動きは、52週MAを「大きく」「長く」ブレークしない程度にとどまるというのが経験則の示すところだ。それぞれの目安は「大きく」は5%、「長く」は1ヶ月だ。
これを米ドル/円に当てはめて考えてみる。足元の52週MAは上述のように133円程度だが、今後1ヶ月で134~135円まで上昇すると見込まれる。そんな52週MAを最大で5%上回るなら、今回の米ドル高は「一時的」とは言え、目一杯展開した場合は140円前後まであり得るといった見通しになりそうだ。
同じように、今度はユーロ/米ドルについて考えてみる。ユーロ/米ドルは足元で1.045米ドル程度の52週MAを約2ヶ月、すでに見てきた米ドル/円以上に「長く」ユーロ高・米ドル安方向にブレークしている(図表2参照)。このような動きは、経験的にはユーロ高・米ドル安がトレンドとして展開している可能性を示している。
その意味では、トレンドと逆行する最近にかけてのユーロ安・米ドル高は一時的な動きということになるだろう。一時的な動きなら、すでに米ドル/円で見てきたように、目一杯進んだ場合でも、52週MAを5%下回るのがせいぜいだろう。
足元の52週MAは1.045米ドル程度だが、今後1ヶ月で1.04米ドルまで下落する可能性が高そうだ。それを5%下回るなら、1ユーロ=1米ドルの「パリティ(等価)」を割れる計算になる。以上を踏まえると、ユーロ安・米ドル高はあくまで一時的な動きの可能性が高いが、米金利上昇などで目一杯進んだ場合はパリティまで戻す可能性もありそうだ。