米ドルと米金利の関係を確認する
11月10日の米10月CPI(消費者物価指数)発表をきっかけに米ドルは一時140円を大きく割り込むまで急落した。これは、これまでの米ドル/円と米2年債利回りとの関係からすると、米2年債利回りが4%を大きく下回るまで米ドルが下落したという意味になる(図表1参照)。
米2年債利回りは、基本的に米国の政策金利であるFFレートを参考に変動する。既にFFレートは11月FOMC(米連邦公開市場委員会)で4%まで引き上げられているので、米2年債利回りが4%を下回るのは、基本的にFFレートの引き下げを織り込むことで起こる現象と言えるだろう(図表2参照)。
では、金融市場では、11月10日の米CPI発表などを受けて、早期の米利下げを織り込む動きになったのか。現実的には逆で、12月FOMCでは0.5%の利上げ予想が8割程度となっている。FFレートは、12月FOMCの後は4.5%まで引き上げられるとの見通しである。そうであれば米2年債利回りも4%割れに向かうより、4.5%程度へ上昇する可能性が高く、米金利との関係からは米ドルの「下がり過ぎ」懸念が高まるのではないか。
それでは、12月にFFレートが4.5%まで引き上げられたとして、それで米利上げ終了となる可能性はあるかと言えば、今のところその可能性も低いのではないか。定評の高いGDP予測モデルであるアトランタ連銀のGDPナウは、米10~12月期GDP成長率について、11月9日に更新した最新予想でプラス4%とした。
まだ10~12月の半分ほどしか過ぎていないので、今後修正される可能性はある。それにしても、この数字から感じられるのは、これほど大幅な利上げを行ってきた中でも、米景気は減速するどころか、むしろより好調が続いている可能性があるということ。
以上からすると、年明け以降についても、米利上げ終了より、むしろ利上げ継続の可能性が高そうだ。そうであれば、米金利との関係からすると、米ドルは下がるより、「下がり過ぎ」修正に伴う反発余地が注目されることになるのではないか。