東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反落となりました。26円高の29,046円で寄り付いた日経平均は直後に60円安の28,958円まで下落した後切り返すと10時20分過ぎに121円高の29,140円まで上昇しましたが、伸び悩むと上げ幅を縮め11時20分過ぎにマイナスに転じ31円安の28,987円で前場を終えました。さらに下げ幅を広げ61円安の28,957円でスタートした後場の日経平均は12時50分前に121円安の28,897円まで下落した後13時30分過ぎに2円高の29,021円まで持ち直しましたが、昨日の終値近辺では上値が重く再びマイナスに転じると結局55円安の28,963円で取引を終えています。一方でTOPIXが小幅に6日続伸となったほか、新興市場も堅調で東証マザーズ指数と日経ジャスダック平均が揃って上昇となっています。

2.個別銘柄等

エーザイ(4523)が19.4%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。エーザイが米バイオジェン(BIIB)と共同開発するアルツハイマー型認知症治療薬について米食品医薬品局(FDA)が承認申請を認めると発表したことで買いを集めました。また、検体検査機器大手のシスメックス(6869)もアルツハイマー型認知症の血液検査キットをエーザイと共同開発していることで買いが波及し9.9%高となっています。オンワードホールディングス(8016)も7.1%高となり年初来高値を更新しました。5月の中盤から衣料品の販売を再開する商業施設が増加したことなどから5月の既存店売上高が前年同月比25.5%増と高い伸びとなったことが好感されました。マザーズ市場ではマネーフォワード(3994)が8.3%高となり年初来高値を更新しました。東京証券取引所が14日付で東証1部への市場変更を承認したことが材料視されました。

一方でダイキン工業(6367)が3.1%安となり年初来安値を更新しました。2024年3月期の営業利益が3250億円となる新たな中期経営計画を発表しましたが、市場の期待に届かなかったことで売りが優勢となりました。レーザーテック(6920)も投資判断の引き下げを受けて9.1%安となり、東証1部で売買代金トップとなっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は55円安となりました。昨日の米国市場でナスダック総合株価指数が続伸となったこともあって一時は上げ幅を三桁に広げ100日移動平均線(29,080円)を上回る場面もありましたが、買い一巡後に上げ幅を縮め下落に転じると節目の29,000円を割り込みました。最近は節目の29,000円を上回ってくると伸び悩む展開が目立ちますが、本日も同様の展開となりました。そのため29,000円を超えたところでの上値の重さが強く意識されそうで、こうしたなかで29,000円を超えて100日移動平均線や75日移動平均線(29,183円)を回復できるかが引き続きポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)