英ポンド/円とユーロ/円の違い

英ポンド/円が、1英ポンド=140円近くまで反発してきた。では、このような値動きから、どのような投資戦略が考えられるのか。

英ポンド/円のこの間の上昇は、金利差では正当化できない結果だった。日英金利差を参考にすると、むしろ英ポンド/円はこの間の安値を更新し、110円割れに向かってもおかしくなかったようだ(図表1参照)。

【図表1】英ポンド/円と日英金利差 (2019年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

そんなふうに、金利差では説明できないクロス円の上昇は、この英ポンド/円に限ったことではなかった。ユーロ/円も、豪ドル/円も。ただそれらと英ポンド/円が、これまでのところで違うのは、英ポンド/円は、なかなか52週MA(移動平均線)を大きく上回れないということだ(図表2参照)。

経験的には、上昇トレンドが展開している場合は52週MAを大きく上回り、下落トレンドが展開する中での一時的な上昇に過ぎない場合は、52週MAを大きく上回れない。その意味では、ユーロ/円や豪ドル/円は上昇トレンドが展開している可能性があるが、英ポンド/円の上昇は一時的な動きの可能性があるわけだ。

【図表2】英ポンド/円と52週MA(2000年~)
出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

以上をまとめると、クロス円上昇の中でも、英ポンド/円はまだ「異質」の可能性がありそうだ。ユーロ/円などと異なり、英ポンド/円の上昇があくまで一時的な動きに過ぎないなら、足元で136円程度の52週MAを上回る動きは限定的で、むしろ金利差や株価の動向次第で、下落リスクが拡大する可能性が要注意ではないか。