3月上旬の中国株は乱高下

3月上旬の中国株は世界の株式市場同様、乱高下が続いています。

まず、中国本土株ですが、3月5日には米国株の急騰の流れをうけたことや世界的な金融緩和・財政投資拡大の流れ、中国の感染者数拡大の落ち着き、中国政府の政策期待などが株価を支え、1ヶ月半振りの高値を付けました。

【図表】上海総合
出所:マネックス証券作成

ところが3月9日には世界の新型コロナウイルス感染者数が10万人を突破し、全米で各イベントが延期されるなど経済に与える影響が懸念される中、トランプ米大統領とホワイトハウスは米国の経済は堅調だとし、財政政策を拡大する差し迫った必要はないとの見方を示しました。

そのことにより、米国株が大きく下落した影響を受けて中国本土株も大幅下落。さらにこの日はロシアとOPEC(石油輸出国機構)の減産交渉が決裂し、サウジアラビアが増産と原油価格の大幅引き下げを行ったことから原油価格が暴落し、石油関連株が大きく下げたこともマイナスとなりました。

その後、一旦は反発したのですが、トランプ米大統領が欧州の26ヶ国からの入国を30日間停止したことなどを受け米国株がブラックマンデー以来の下落率で急落すると、3月13日の中国株は大幅に値を下げてスタート。ただし、寄り付きは大きく下落して始まったのですが、その後は下げ幅を縮小する展開となり、ローソク足は大きな陽線となって一番底をつけるようなチャートの形となりました。

株価がこの日に戻した理由は、中国が消費刺激策を発表したことや人民銀行が預金準備率を引き下げ、新型ウイルスで打撃を受けた企業へ融資促進といった方針を打ち出したことなどによるものです。

一方、香港株は中国本土株のように当局の買い支えが無いこともあり、3月上旬は中国本土株よりも強く下落する株価推移となりました。しかしながら、3月13日は中国本土株と同様に、急落して寄りついたあとに大きく上昇して引け、大きな陽線を付けてこちらも一番底を付けるようなチャート形状となりました。

目先は反発期待も、もうしばらくは軟調な基調が継続するか

その後、3月13日夜の米国株は乱高下の末、トランプ米大統領が国家非常事態を宣言したほか、米議会も法案取りまとめに動いていること、また、FRB(米連邦準備制度理事会)が国債購入を加速する方針を示し、約330億ドル相当を購入すると発表したこと、イタリアとスペインの証券監督当局は一部銘柄の空売りを禁止するなど世界中で財政・金融政策が相次いで打ち出されたことから急反発しました。

さらにFRBはFOMC(米連邦公開市場委員会)を待たずに3月15日に政策金利を1ポイント引き下げてゼロ近辺にし、債券保有額を7,000億ドル増やす方針を発表したことから、世界的に3月16日の株価は大きく上昇してスタートする見込みで、中国株も反発が期待できるところです。

ただ、短期的な反発後はしばらく軟調な推移が続くものと見ています。中国は落ち着いてきましたが、世界的に新型コロナウイルスの感染拡大は続いており、この先、世界経済はスローダウンする見込みです。

新型コロナウイルスの影響で強制的に人々は外出を避け、旅行をやめ、外食やイベントにも行かないという自粛ムードです。この先、感染が止まっても消費者マインドの回復は緩やかなものとなるでしょう。

金融緩和も世界中で積極的に行われていますが、そもそも新型コロナウイルスは経済問題ではなく、金融危機などにはなっていませんので、金融危機と同じ対策を行ってもすぐに効果が出るものでもありません。

もちろん、いずれ収束することは間違いありませんし、長く調整が続いたとしても、その間は優良株を買うチャンスであるという認識は変わりありません。調整が長引くかもしれないという、ゆったりとしたスタンスでチャンスを狙うと良いと思います。