住宅ローン金利7.5%到達で冷え込む米住宅市場

米国で住宅ローン金利が上昇しており、その影響で住宅購入のためのローン申請が大きく減速しているという。全米抵当銀行協会(MBA)が10月14日に発表したデータによると、10月9日終了週の30年物固定住宅ローン金利は1ベーシスポイント(bp)上昇して7.5%となり、2023年11月以来の高水準となった。6月末以降、1ポイント近く上昇している。

ブルームバーグの15日付の記事「米住宅ローン金利の上昇止まらず、30年物7.5%に 購入は大幅減速」は、住宅購入のためのローン申請指数は前週から4%低下し、2025年初め以来の低水準を付けたと報じている。前の週に比べて低下するのは6週連続であり、2023年7-8月以降で最長となった。借り換えのための申請指数は8週連続で低下し、2025年初め以来の低水準とのことだ。

逆風下で進むバークシャー・ハサウェイ[BRK.B]のレナー[LEN]株買い増し

住宅建設業界のセンチメントが弱い中、米投資会社バークシャー・ハサウェイ[BRK.B](以下バークシャー)が、米住宅建設会社のレナー[LEN]の株式を10月初旬に買い増したことが分かった。10月5日に米証券取引委員会(SEC)に提出された最新の報告書によると、バークシャーは10月1日と2日にレナー株を約240万株買い増し、保有比率は約12%となった。9月末時点の比率は10.9%だった。

【図表1】バークシャー・ハサウェイによるレナー株の保有(クラスA・B合計)
出所:決算資料より筆者作成
【図表2】バークシャー・ハサウェイの2026年6月末時点の保有銘柄と2026年3月末時点の保有銘柄(緑:新規取得 オレンジ:全売却)
出所:フォーム13Fより筆者作成

レナーを取り巻く市場環境は決して明るいとは言えない。納入実績と利益率は低迷しており、住宅ローン金利の高騰が住宅需要を抑制している。しかし、そのブランドは健在だ。バークシャーが米国第2位の住宅建設会社であるレナーへの出資比率を積み増していることは、低迷する米国住宅市場における長期的な回復への賭けとなる。

需要減と販促費負担が圧迫するレナーの業績

レナーが9月16日に発表した2026年第3四半期決算では、売上高は前年同期比8.6%減の80.5億ドル、純利益は2.84億ドルと、1年前(5.91億ドル)のほぼ半分に落ち込んだ。新規受注は前年同期比約9%減、引き渡し戸数は3%減だった。住宅販売の粗利益率は前年同期の17.5%から15.8%に低下した。

【図表3】レナーの売上高と純利益の推移
出所:決算資料より筆者作成

レナーのエグゼクティブチェアマン兼CEO(最高経営責任者)のスチュアート・ミラー氏は、決算説明会において、前回より事業環境はさらに悪化したと発言。30年固定住宅ローン金利の水準が高止まりしていることが、「可処分所得を圧迫し、購入資格のある買い手の範囲を狭めている」と語った。

潜在的な買い手は資金調達コストの上昇により住宅購入を先送りし、購入資格のある買い手層が縮小し続けている。加えて、デベロッパーは販売を維持するために価格割引や金利補助の拡大を余儀なくされている。レナーは顧客の実質的な住宅ローン金利を一時的に5.5%まで引き下げており、その差額を負担している。こうした販売促進策は販売数量を維持する一方で、利益率を圧迫しており、これが同社の利益が減少する要因となっている。

バリューチェーン網羅を狙うバークシャーの長期的戦略

バークシャーは6月、米住宅建設大手テイラー・モリソン・ホームを約1兆円で買収した。グレッグ・アベルCEOは10月2日のCNBCとのインタビューで、米国の住宅建設業界に「すぐに回復する兆しは見られない」としながらも、アメリカンドリームは今後も存在し続けるため、テイラー・モリソンは5年から10年後には「非常に強力な資産」になると予想していると述べた。

バークシャーの傘下には、2003年に買収したクレイトン・ホームズ、世界最大規模の床材メーカーのショー・インダストリーズ、屋根材メーカーであるジョンズ・マンビル、高級塗料ブランドのベンジャミン・ムーアなどがある。バークシャーの住宅関連投資は素材・製造段階から住宅バリューチェーン全体へと拡大している。バークシャーは住宅建設市場ですでにかなりの存在感を確立しており、今回のレナー株の買い増しはその戦略の延長線上にある。

バークシャーはレナー社の全株式取得も想定か?

バークシャーはレナーの全株式を買収することも検討しているのかもしれない。レナーの時価総額は直近、200億ドルを割り込んでいる。バークシャーは買収を行うだけの十分なキャッシュを持っている。現金や米短期国債を合わせた広義の手元キャッシュは6月末時点で約3600億ドルを超える。この額はモルガン・スタンレー[MS]やゴールドマン・サックス[GS]といった大手金融機関の時価総額を上回る水準だ。

【図表4】3600億ドル超の手元キャッシュを保有しているバークシャー・ハサウェイ
※棒グラフ:手元キャッシュ(単位:百万ドル)右目盛、赤ライン:NYダウ(単位:ドル)左目盛
出所:筆者作成

住宅ローン金利が7%を超える中、米不動産市場の回復ペースには大きな不確実性が残る。バークシャーは現在の株価には悲観的な見方が十分に織り込まれており、住宅建設業界もいずれ底を打ち、回復に向かうと考えているようだ。ただ、その時期を正確に言い当てられる者はいない。

石原順の注目5銘柄

バークシャー・ハサウェイ[BRK.B]
出所:マネックス証券ウェブサイト
レナー クラスA[LEN]
出所:マネックス証券ウェブサイト
レナー クラスB[LEN.B]
出所:マネックス証券ウェブサイト
ディーアール・ホートン[DHI]
出所:マネックス証券ウェブサイト
パルト・グループ[PHM]
出所:マネックス証券ウェブサイト