以前にもここで書きましたが、私は民放ドラマが好きです。とはいえ最近はゆっくり観る時間もなかなか取れません。先週末、長い海外出張から帰国し、久しぶりに自宅でゆっくり過ごす時間ができたため、録りためていた(ストリーミング時代においては廃語でしょうか…)2026年春クールのドラマを一気に観ました。
その中で、これまでのドラマとは少し違う余韻を残したのが『月夜行路』でした。最近のドラマは、医療、刑事、弁護士といった専門職をテーマにしたものが多くあります。どれも人を救う仕事であり、その救いは分かりやすいものです。病気を治す、事件を解決する、誰かの権利を守る。視聴者も達成感を得やすい構造になっています。一方で『月夜行路』が描いていたのは、少し違う種類の救いでした。
文学ミステリーなのですが、私には「自己」を描いているように映りました。登場人物たちは迷い、悩み、過去を抱えながら生きています。そんな彼らに寄り添うのが、文学や歴史、そして文豪たちが残した言葉です。
文学は病気を治すことも、問題を解決することもできません。しかし、人を前に進ませる力は持っているのかもしれません。考えてみれば、私たちも日常の中で似た経験をしています。誰かの何気ない一言を何年も覚えていたり、一冊の本に励まされたり、歴史上の人物の生き方に勇気をもらったりすることがあります。誰かの物語を通じて、自分自身の人生を見つめ直すこともあります。
実は私は、子どもの頃から本を読むより、外で遊んだり人とおしゃべりしたりする方が好きでした。情報も自分で調べるより、人に聞いた方が早いと思っていたくらいです。そんな私が、このドラマをきっかけに文学に興味を持ったのは少し意外でした。
『月夜行路』が伝えたのは、「あなたはあなたのままで良い」ということでした。人にはそれぞれの物語があり、それぞれの歩み方があります。誰かと比べる必要はなく、自分の人生を生きればよい。人は合理性だけで生きているわけではありません。だからこそ、時代を超えて物語が読み継がれ、語り継がれてきたのでしょう。私も、これからも、自分の物語を自分らしく紡いでいきたいと思います。
- 清明 祐子
- マネックスグループ 代表執行役社長CEO/マネックス証券株式会社 取締役社長執行役員
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2001年4月株式会社三和銀行(現 株式会社三菱UFJ銀行)入行、2006年12月に株式会社MKSパートナーズに転じ、2009年2月にマネックス・ハンブレクト株式会社(2017年マネックス証券と統合)入社。2011年6月マネックス・ハンブレクト株式会社代表取締役社長を経て、2013年3月 マネックスグループ執行役員、2016年6月グループ執行役、2019年4月マネックス証券株式会社代表取締役社長に就任。2020年1月グループ代表執行役COO、2021年1月グループ代表執行役COO兼CFOに就任。2021年6月グループ取締役就任、2022年4月グループ取締役兼代表執行役 Co-CEO兼CFO就任、2023年6月より取締役兼代表執行役社長CEO(現任)。2024年1月マネックス証券取締役社長執行役員。
