活況を呈するインバウンド需要
3月も半ばを過ぎました。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、すっかり春めいて暖かい日が増えています。1年を通じて最も気持ちのよい観光シーズンの到来です。
卒業式に合わせるかのように関東地方では桜の花が咲きました。例年より早い開花となっています。日本を訪れる外国からの観光客たちが、咲き始めた桜の花の下で記念撮影をしている光景をよく見かけます。
引き続きインバウンドの需要は活発です。2月の訪日外国人観光客数は346.6万人に達しました。前年同月比では+6.4%も伸びており、2月としては過去最高を更新しました。
東アジアや欧米豪が中国の減少をカバー
中国から日本を訪れる観光客は39.6万人(-45.2%)に大きく減少しています。中国政府が日本への渡航を避けるよう呼びかけている影響は避けられませんでした。
しかしその減少分は韓国(108.6万人、+28.2%)、台湾(69.3万人、+36.7%)、香港(23.3万人、+19.6%)など東アジアからの高い伸びですっかり補われています。米国(21.9万人、+14.7%)も大きく伸ばしており、これらのエリアを含む18市場で、2月として過去最高記録を更新しました。
「量から質へ」「団体から個人へ」リピーターの増加と地方分散化
日本を訪れる海外からの観光客の特徴として、リピーターが増えているという点が挙げられます。外国人観光客の約7割がリピーターという統計もあります。初回の訪日では観光地として世界に知られる京都、大阪、神戸、広島を訪れ、2回目からはそれ以外の地方都市へ分散しているとみられています。
折しも中国からの団体旅行客への依存度が低下して、代わって欧米豪や東アジアの個人旅行にシフトしていることから、インバウンドの需要は明らかに「量から質へ」と変化しています。旅行客1人当たりの単価の上昇も続いている模様です。
滞在型・体験型消費へのシフト
出費の対象は、滞在型(ホテルよりも高級旅館)、体験型(日本ならではの文化的価値、豊かな自然・食材)へと広がっているような印象です。品質の高さを誇る「日本ブランド」に対して旅行客の信頼感が確立していることが背景にあるとみられ、今後はさらに支払い金額を引き上げてもよいという感覚につながっているとも考えられます。
オーバーツーリズムを回避したい気持ちは、日本人以上に海外からの旅行客も同じです。訪日客はますます「最初から地方を目的とした」日本滞在を目指すものと考えられます。体験重視型のインバウンド関連銘柄をご紹介します。
体験重視型インバウンド関連銘柄
西日本旅客鉄道(JR西日本)(9021)
地方分散型インバウンド消費の中核的な銘柄。北陸、近畿、中国、九州北部を営業地盤とする。大阪・関西万博の大成功を受け、2026年は反動減が見込まれるものの、その後も大阪ブームは衰えず、落ち込みは最小限にとどまる見込み。駅ナカ店が好調で、長期経営計画2032では「ライフデザイン分野」を営業利益の40%(現在25%)まで引き上げる計画に取り組む。
リソルホールディングス(5261)
体験型リゾート「Sport & Do Resort リソルの森」を運営。リゾート・健康・スポーツ・アウトドアがテーマ。ホテルは全国20ヶ所で展開し、ゴルフ場は17ヶ所を運営。シェア利用の貸別荘「リソルステイ」も熱海、箱根、伊豆、那須、軽井沢など80ヶ所で運営する。旧ミサワリゾートで、2005年に三井不動産の持分法適用会社となり、コナミグループも資本参加している。最高益を更新中。
ヤマエグループホールディングス(7130)
九州発祥の食品卸大手。関東にも進出し、全国のホテル・旅館、外食店向けに業務用食材の卸売が拡大中。M&Aに積極的で、事業は食品卸にとどまらず、惣菜製造、酒造、小麦粉、配合飼料、豚・牛の集荷、トラック輸送、倉庫、さらには住宅・不動産、石油販売、レンタカーまで多角化を図る。現在は売上の76%が食品関連、11%が飼料・畜産、10%が住宅・不動産。最高益を更新中。利益率も高い。
