東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は5日続伸となりました。98円安の32,521円で寄り付いた日経平均は直後に119円安の32,499円を付けました。しかし、節目の32,500円をわずかに割り込んだところで下げ渋るとまもなくしてプラスに転じ11時10分過ぎには226円高の32,845円まで上昇しました。その後、後場に入り伸び悩むと上げ幅を縮めましたが引き続き堅調に推移すると結局91円高の32,710円で取引を終えています。一方で新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

神戸製鋼所(5406)が一時4.9%高となり年初来高値を更新しました。一般的な鋼板と比べて単純計算で消費電力量を1割ほど削減できる電気自動車(EV)など電動車の部品に使う新たな鋼板を開発したと伝わったことで大幅高となりました。パナソニック ホールディングス(6752)も一時3.6%高となりました。未定としていた中間配当を前年同期比2円50銭増となる17円50銭にすると発表したことから買いが優勢となりました。四電工(1939)も一時19.6%高となり年初来高値を更新しました。株主還元方針を変更し連結配当性向を30%以上から40%以上に引き上げ、2024年3月期の年間配当を従来計画の100円から120円に増額すると発表したことから上げ幅を広げました。また、目標株価の引き上げを受けて三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)と三井住友フィナンシャルグループ(8316)が高く、三菱UFJフィナンシャル・グループが一時2.1%高、三井住友フィナンシャルグループも一時2.2%高となり揃って年初来高値を更新しています。

さらに東証グロース市場ではシャンプーや美容家電を手掛けるI-ne(4933)が一時12.0%高となりました。上場市場を9月19日から東証プライム市場に変更し、2023年12月期に13円の記念配当を実施すると発表したことから買いを集めました。一方で第2四半期決算を発表した半導体用化学薬品のトリケミカル研究所(4369)が一時4.3%安となりました。半導体市況の悪化で半導体メーカーの生産の落ち込みが続いていることにより化学薬品の販売が低迷していることから35億円とみていた通期の営業利益の見通しを17億円に下方修正したことで売りが優勢となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は91円高となりました。昨日の米国市場でダウ平均が利益確定の売りに押され反落となった流れを受けて下落して始まりました。しかし、朝方の売り一巡後に持ち直すとプラスに転じ上げ幅を広げ一時は220円以上上げる場面もありました。また、TOPIXも売りが先行しましたが、プラスに転じると8月1日に付けたバブル崩壊後の高値(2,337ポイント)を上回って取引を終えています。そのため日経平均でも今週に入り上値抵抗線として意識されやすい25日移動平均線や一目均衡表の雲の上限などを次々と抜けてきたこともあり高値更新への期待が高まりそうです。なお、日本時間21時30分には8月の米雇用統計が発表される予定です。今後の米連邦準備理事会(FRB)による金融政策を占ううえで関心の高い経済指標だけにマーケットの反応が注目されます。また、23時には8月の米ISM製造業景況感指数の発表も予定されています。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)