【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 25897.71  ▼389.73 (8/12)
NASDAQ: 7863.41  ▼95.73 (8/12)

1.概況

先週末の米国市場はトランプ米大統領が米中貿易交渉で中国と合意する準備はできていないなどと述べたことで米中対立への警戒感が改めて強まり反落となりました。ダウ平均は41ドル安でスタートし昼前に280ドル安まで下げ幅を広げたあと午後に持ち直す展開となり取引終盤に小幅にプラスとなる場面もありましたが、引けにかけて再びマイナスに転じると結局90ドル安の26,287ドルで取引を終え反落となっています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も80ポイント安の7,959ポイントと4日ぶりの反落となっています。

昨日の米国市場は中国人民銀行が人民元取引の対ドル基準値を連日で元安に設定していることで米中の対立が引き続き警戒されたことや、長期金利の低下を受けての金融株の下落も相場の重石となったうえ、香港の大規模な抗議活動が香港国際空港を発着する航空機の運航停止に発展したことも嫌気され大幅続落となりました。117ドル安でスタートしたダウ平均は昼前に300ドル安程度まで売られたあと一旦下げ渋りましたが、大きく持ち直すことなく軟調に推移すると取引終盤に再び下げ幅を広げる展開となり一時は462ドル安まで売られる場面もありました。その後ダウ平均は引けにかけてやや下げ幅を縮めたものの結局389ドル安の25,897ドルで取引を終えています。また、ナスダック総合株価指数も95ポイント安の7,863ポイントとなっています。

2.経済指標等

先週末に発表された7月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇し市場予想と一致しています。また、昨日発表の7月の米財政収支の赤字額は前年同月比55.7%増の1196億9600万ドルとなっています。

3.業種別動向

先週末の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち8業種が下げ、情報技術とエネルギーが1%以上下落したほか、一般消費財・サービスも1%近く下げています。一方でヘルスケアと不動産、公益事業の3業種が上げています。昨日の業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでも金融が2%近く下落したうえ、素材も1%台後半の下げとなっています。

4.個別銘柄動向

先週末の米国市場では配車大手のウーバー・テクノロジーズ(UBER)が決算で売上高が市場予想を下回ったうえ、赤字額がこれまでで最大となったことから7%近く下げました。また、百貨店のJCペニー(JCP)がニューヨーク証券取引所の継続上場基準を満たせず上場廃止に関する通知を受け取ったと発表したことで急落し13%以上下落しました。一方で飲食店などの口コミサイトを手掛けるイエルプ(YELP)が決算で利益が市場予想を上回ったことで5%余り上げています。

昨日の米国市場でダウ平均構成銘柄はメルク(MRK)を除く29銘柄が下げました。そのなかでも長期金利の低下を受けてゴールドマン・サックス(GS)が3%近く下落したほか、米中貿易摩擦激化への懸念からユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)やキャタピラー(CAT)なども2%を超える下げとなっています。ダウ平均構成銘柄以外では、メディア大手のバイアコム(VIAB)がメディア大手CBS(CBS)と合併に向け詰めの協議を行っていると伝わるなか予想される合併比率にさや寄せする格好で売られ5%近く下げました。CBSも2%安となっています。一方で動画配信機器のロク(ROKU)が目標株価の引き上げを受けて7%以上上げ上場来高値を付けています。

5.為替・金利等

先週末の長期金利は0.03%高い1.74%となりました。昨日の長期金利は0.10%低い1.64%となっています。こうしたなかドル円では円高が進み105円台前半で推移しています。一時は105円近辺まで円高が進む場面もありました。

VIEW POINT: 今日の視点

米国市場が大幅続落となったことに加え、円高も進んでいることから本日の日本市場は大きく下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の20,500円を割り込みそうで、ドル円の動向に神経質な展開となりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)