2026年度上半期は取得・売却とも減少

2026年度上半期(4月~9月)のJ-REITによる物件売買は、取得額、売却額ともに減少した。取得額は4344億円と2022年度上半期以来の5000億円割れ、売却額は2719億円と2023年度下半期以来の3000億円割れとなった(図表)。

前年度同期比の増減率でみると、取得額は2026年度上半期に16.6%減少し、直近5年度の中央値である13.7%をやや上回っている。一方で売却額は2022年度下半期の38.2%減少を超える最大の減少率となった。また、売却額の中央値が26%の増加という面からみれば、大幅な減少と言えるだろう。

【図表】取得額と売却額の推移(年度半期推移 単位:億円)
出所:各銘柄公表資料を基にアイビー総研(株)作成

取得額と売却額の減少要因

取得額の減少は、後述する売却額の減少が主要因となっている。一方、前年度と比較して増資による資金調達額および増資件数は増加しており、増資による規模拡大の動きは続いている。

売却額の減少要因は二点が挙げられる。一点目は売却益などの一時的な要因を排除した巡航分配金水準の成長目標を掲げる銘柄が増加していることだ。巡航分配金の成長という観点では、物件売却はマイナス要因となる。巡航分配金は、売却だけを行う場合、ポートフォリオの縮小に伴って減少する。また売却と併せて取得を行う(入替)場合でも不動産価格高騰が続く現状では、物件の入れ替えはポートフォリオの利回りを低下させることになるため、巡航分配金にはマイナスとなる。

二点目は、これまで高水準の売却を実施してきた影響だ。大半の銘柄では、物件売却に伴う売却益の一部または全部を内部留保することが多い。潤沢な内部留保がある銘柄は、それを取り崩すことによって増配基調を維持できるため、売却を減速させたり、停止したりすることが可能となっている。

用途別の傾向

用途別に前年度同期比での増減率を見ると、増加したのは商業施設の153.2%と物流の145.3%の二用途で、その他の用途では減少となっている。商業施設は2025年度同期の取得額が200億円以下と少額であったこと、物流施設は2023年度下半期以降に減少傾向が続いていたことの反動増となっている。また物流施設の取得額665億円は直近5年度の中央値719億円以下であり、顕著な増加とはなっていない。

売却額の増減率を見ると、増加したのはホテルの311.9%だけで、その他の用途は減少している。減少した用途では物流施設が62.1%減少と最大の数値となっているが、これは前述の通り高水準の売却を続けてきたことで内部留保が潤沢となっているためだ。

2026年度下半期の見通しは、取得額全体は減少傾向が続く可能性が高い。住宅は、ポートフォリオ規模919億円の「KDX Kolet投資法人」が11月25日に上場予定であるため、増加に転じる可能性が高いが、その他の用途では価格の大幅な低迷に伴い増資が困難になっているため減少となりそうだ。

一方で売却額は増加に転じると考えられる。日米の長期金利が高く、今後の動向も不透明な状態が続いているため、銘柄の価格回復にはさらなる増配が必要となっているからだ。