東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株高を受けて続伸となりました。82円高の26,925円で寄り付いた日経平均は直後に47円高の26,890円まで弱含んだ後切り返し上げ幅を広げると11時10分過ぎに357円高の27,200円まで上昇し339円高の27,182円で前場を終えました。278円高の27,121円でスタートした後場の日経平均は12時40分に257円高の27,100円まで上げ幅を縮めた後14時40分前に347円高の27,190円まで上昇するなど27,100円台で推移すると結局328円高の27,172円で取引を終えています。一方で新興株は軟調で東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

本決算を発表したカジュアル衣料大手のアダストリア(2685)が11.0%高となり年初来高値を更新しました。新型コロナウイルス禍から経済が緩やかに正常化に向かうことを前提に売り上げの回復を見込まれることや、原料高や円安によるコスト上昇について代替素材の使用や価格の見直しなどで対応することで2023年2月期の営業利益が前期比で52.3%増となる見通しを発表し市場予想を上回ったことで買いを集めました。同じく本決算を発表した吉野家ホールディングス(9861)も5.3%高となりました。新型コロナ感染拡大で落ち込んでいた客足の大幅な回復を見込み前期比で43.8%増となる2023年2月期の営業利益の見通しを発表したことが好感されました。また、決算で旅客需要の増加から4-6月期の業績回復の見通しを示したデルタ航空(DAL)が6%を超える上昇となるなど昨日の米国市場で空運株が大幅高となった流れを受けて日本市場でも日本航空(9201)やANAホールディングス(9202)が買われ、日本航空が4.8%高、ANAホールディングスも3.6%高となりました。

一方で本決算を発表したナノ・ユニバースなどのアパレルブランドを展開するTSIホールディングス(3608)が一時11.9%安となり年初来安値を更新しました。ウクライナ情勢などにより経済状況の回復が遅れるとして2023年2月期の営業利益が前期比で66.2%減となる見通しを発表したことで売りが膨らみました。大幸薬品(4574)も8.6%安となりました。空間除菌剤のクレベリンについて消費者庁が出した景品表示法に基づく措置命令に対して大幸薬品が求めた仮の差し止め申し立てを東京高裁が認めない決定を出したことで大幅安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は328円高となりました。米国企業の決算発表がスタートするなか決算を期待した買いで昨日の米国市場が反発したことから大幅高となりました。上げ幅を広げ節目の27,000円を回復し25日移動平均線(27,036円)を上回ったことから下値への警戒感が一段と後退しそうですが、こうしたなかで明日も買いが優勢となった場合には75日移動平均線(27,291円)を上回り水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、小売り企業の決算発表が続いていますが本日も引け後に良品計画(7453)やファーストリテイリング(9983)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の20時45分に欧州中央銀行(ECB)理事会の結果が発表されるほか、21時30分には米新規失業保険申請件数や3月の米小売売上高が、そして23時には4月の米ミシガン大学消費者態度指数速報値が発表される予定です。さらに14日の米国ではゴールドマン・サックス(GS)やモルガン・スタンレー(MS)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)、シティーグループ(C)といった金融大手の決算発表が相次いで行われる予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)