NYダウ: 23348.74  ▼85.45 (10/30)
NASDAQ: 6698.96  ▼2.30 (10/30)

【米国株式市場】
<ニューヨーク市場>

1.概況
米国市場は下院共和党が法人税減税の段階的な導入を検討していると伝わり反落しました。取引開始直後に90ドル安程度まで売られたダウ平均は一旦切り返したものの戻し切れないと再び下げ幅を広げ昼過ぎに106ドル安まで下落しました。その後も軟調な展開が続いたダウ平均は結局85ドル安の23,348ドルと3日ぶりに反落して取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も2ポイント安の6,698ポイントと反落しています。

2.経済指標等
9月の米個人消費支出(PCE)は前月比1.0%増となり市場予想を上回りました。また、変動の激しい食品とエネルギーを除いたPCEコアデフレータは前年同月比1.3%上昇し市場予想と一致しました。9月の米個人所得も前月比0.4%増となり市場予想と一致しています。

3.業種別動向
業種別S&P500株価指数は全11業種のうち7業種が下げ、電気通信サービスとヘルスケアが1%を超える下落となったほか、生活必需品も1%近く下げています。一方で不動産や情報技術などの4業種が上げています。

4.個別銘柄動向
メルク(MRK)が6%余り下げダウ平均構成銘柄で下落率トップとなりました。がん免疫薬「キイトルーダ」に関して欧州で進行性非小細胞肺がん治療への適用承認申請を撤回したと発表したことが嫌気されました。また、投資判断と目標株価の引き下げを受けて半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)も8%安と大きく下げたほか、同業のカルアトランティック・グループ(CAA)を約57億ドルで買収すると発表した住宅建設大手のレナー(LEN)も財務負担を嫌気した売りで4%安となっています。カルアトランティック・グループは買収価格にさや寄せする格好で急伸しています。さらにソフトバンクグループ(9984)傘下のスプリント(S)も9%を超える下落となっています。ソフトバンクグループがTモバイルUS(TMUS)との経営統合に向けた協議を打ち切る方針を固めたと伝わったことで売りが膨らみました。TモバイルUSも5%以上下げました。一方でiPhoneXの予約が好調と伝わったアップル(AAPL)が2%を上回る上昇となり、ダウ平均構成銘柄で上昇率トップとなって上場来高値を付けています。

5.為替・金利等
長期金利は0.04%低い2.37%となりました。ドル円は113円台前半で推移しています。

【VIEW POINT: 今日の視点】
本日の日本市場は米国株安を受けて下落してのスタートとなりそうです。利益確定の売りが出やすいなか日経平均がやや下げ幅を広げる展開となった場合には5日移動平均線(昨日時点で21,854円)などをサポートに下げ渋るかがポイントとなりそうです。また、本日は昼ごろに日銀の金融政策決定会合の結果が発表されますが、現状維持とみられていることからマーケットへの影響は限定的となりそうです。さらに本日は決算発表前半におけるピークで360社を超える企業が決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)