現在のファンダメンタルズ:ウォーシュ議長のタカ派講演で米ドル高へ

先週(8月24日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円:  158.705円~160.201円            160.100円
・ユーロ/米ドル:1.15779ドル~1.16868ドル    1.15819ドル
・ユーロ/円:  185.349円~185.982円      185.432円

先週(8月24日週)の為替市場:米金利上昇と米ドル高

8月24日週の為替市場は週初から28日(金)NY市場まではかなり緩やかながらも、着実に米ドル高が進みました。背景には、25日(火)に底打ちした米金利(10年債利回り)が再び上昇に転じたことがあります。またFRBジャクソンホールでのウォルシュ(米連邦準備制度理事会)議長講演を前に、米ドル買いに賭ける動きがみられたこともあるでしょう。

注目のウォルシュ議長の講演はフォワードガイダンスを示すことを嫌う同氏の傾向から具体的なことに触れない可能性が高いものの、高いインフレについてFRBとして何らかの言及があるかもしれないという見方が強まっていました。そうなると、どちらの場合でもイベント通過後は米ドル買いがよいのではないかという見方が米ドルのじり高につながったということになります。

そして講演が始まると「インフレ率が2%に向かわない場合、するべきことがある」と明らかに利上げを意識した発言を行いました。同発言を受けてシカゴマーカンタイル取引所のFF先物から算出される9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げの織り込み度も57%へと上昇しました。しかし、まだ想定ほど高くないため、今週(8月31日週)の雇用統計と来週のCPIの結果を見た上での判断という点が、現時点のコンセンサスでしょう。

そして、米金利上昇とともに為替市場ではユーロ/米ドルを中心に米ドルが上昇し、ユーロ/米ドルは1.15779ドルまで下落して安値引けとなり、米ドル/円も協調介入時以来の160.201円をつけ、わずかに押して引けました。

今週(8月31日週)はどの水準で為替介入が実施されるのかを見極める流れに

シカゴ通貨先物の円売りポジションは前週から微増し、8月25日時点で約6.3万枚の円売りとなり投機筋も少しずつ円売りを再開している様子がうかがえます。

米国サイドでは長期金利の上昇、日本サイドでは長期金利上昇に加え円安が大きな課題となる中で円相場は改めて160円の大台に戻ってきました。そのため、今週(8月31日週)はどの水準で介入が実施されるのかを見極める流れになったと考えられます。

ただ、8月28日(金)に発表された7月末から8月上旬にかけて実施された日米協調介入時の介入額は約15.4兆円と過去最大、2026年に入ってからの介入額も約27.1兆円と巨額に上っています。当局も可能な限り様子見を続けたいのででしょう。

こうした為替介入を吸収する規模の円売り需要があるということも事実ですが、為替における円売りポジションが着実に膨らんでいます。そのため、円キャリーの魅力を低下させるという意味でも、日銀の利上げペースは9月以降、想定よりも速まる可能性が高まってきたように思います。

今週(8月31日週)は160円の大台を挟んで9月4日(金)の雇用統計まで神経質な展開が続きそうですが、基本的に米ドルの押し目買いを狙う参加者が多いと考えられます。

米ドル/円チャート(週足)、移動平均線上抜け1週目

長期的な判断は週足で行います。

米ドル/円は先週末(8月28日)の時点で、週末終値が再び20週移動平均線を上回りました。上抜け1週目であり、移動平均線からの距離も近いため今週末(9月4日)の終値は重要です。2週連続で上抜けて上昇トレンドへと転換するのか、再び下回って下降トレンドが継続するのか、米雇用統計が発表されれば、には9月の金融政策ウィークに向けた方向性が見えそうです。

【図表1】米ドル/円(週足)
出所:マネックストレーダーFX
週足チャートの見方
長期トレンドは20週移動平均線と週足終値との位置関係で判断します。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。

米ドル/円チャート(日足)、24日にGCへと転換

短期的な判断は日足で行います。

日足の移動平均線は、8月24日にゴールデン・クロス(GC)となりました。今回は比較的移動平均線の間に距離があるため、目先は円安方向のトレンドを想定すると、押し目買いが機能しやすい週となるでしょう。それでも雇用統計前に大きなトレンドが発生する可能性は少ないことから、想定レンジは159.00円~161.00円で、160円の大台を挟んだ値動きになりやすいと見ています。

【図表2】米ドル/円(日足)
出所:マネックストレーダーFX
日足チャートの見方
短期売買シグナルは5日終値移動平均線(青)と5日始値移動平均線(赤)のゴールデン・クロス(GC)、デッド・クロス(DC)で判断します。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
短期上昇トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の上で推移し、短期下降トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の下で推移します。通常の2本の移動平均線で言えば、終値が短期線の役割、始値が長期線の役割を果たしていると考えるとわかりやすいでしょう。
※マネックストレーダーFXでは、移動平均線の設定画面で始値を選択することができます。

ユーロ/米ドルは週足移動平均線を2週連続上抜けで上昇トレンドへ

ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。

週足チャート(図表3)では、ユーロ/米ドルの終値が2週連続で移動平均線を上抜けて引けたことで上昇トレンドに転換しました。直近の動きと異なる印象はありますが、長期テクニカルでは上昇ということになります。ただ先週末(8月28日)には移動平均線にかなり近づいたため、2週間後に方向転換する可能性も否定できません。

【図表3】ユーロ/米ドル(週足) 長期トレンド=上昇トレンド
出所:マネックストレーダーFX

日足チャート(図表4)では、7月29日から続いていたゴールデン・クロス(GC)状態から8月26日に約1ヶ月ぶりにデッド・クロス(DC)へと転換しました。長期と短期の方向性が異なる悩ましい地合いではありますが、短期トレードを中心に考えるならば平行上昇チャンネル(赤)を下抜けたことで戻り売りが機能しやすいという見方になります。

【図表4】ユーロ/米ドル(日足) 短期トレンド=8月26日にDCへ転換
出所:マネックストレーダーFX

ユーロ/円週足は2週連続で移動平均線を上抜け上昇トレンドに

ユーロ/円(図表5)は、ユーロ/米ドル同様に2週連続で終値が移動平均線を上抜けたことで上昇トレンドへの転換が確定しました。現状は米ドル/円、ユーロ/米ドルとも米金利を見ながらの米ドル中心の動きとなっていますので、上昇トレンドに転換したと言っても大きな動きは期待できそうもありません。

【図表5】ユーロ/円(週足) 長期トレンド=上昇トレンド
出所:マネックストレーダーFX

日足チャート(図表6)では上昇トレンドが強く8月7日のゴールデン・クロス(GC)状態が続いています。ただ先週(8月24日週)後半から高値圏でのもみあいが続いているため、デッド・クロス(DC)に転じやすい状況でもあります。どの主要通貨を見ても長期と短期の方向性が異なっていたり、いつ流れが転じてもおかしくない状況であったりと難しい局面になってきました。個人的には短期トレードが中心のため、日足の方向性を中心に見ていくつもりです。

それでは今週も良いトレードを!

【図表6】ユーロ/円(日足) 短期トレンド=8月7日以降ゴールデン・クロスが継続
出所:マネックストレーダーFX