現在のファンダメンタルズ:日米協調介入で円が急反騰
先週(7月27日週)のレンジと終値(マネックストレーダーFXのBidレート)
・米ドル/円: 157.494円~163.947円 157.661円
・ユーロ/米ドル:1.13533ドル~1.15468ドル 1.15398ドル
・ユーロ/円: 181.823~187.473円 181.949円
先週(7月27日週)の為替市場:米ドル/円は日米協調介入で157円台へ
7月27日週の為替市場は水曜までは163円台半ばを中心として米ドル高値圏でのもみあいを続けました。FOMC(米連邦公開市場委員会)は大方の予想通り現状維持となりました。3名の反対票はあったものの、タカ派地区連銀総裁の利上げ支持は想定内で、相場は特に動きませんでした。
7月30日は7月31日の日銀会合を控えて静かな値動きになるであろうという見方が大半でした。しかし、欧州市場の前場に大きめの米ドル売りが入り一時162円台前半まで下げ、その後163円近くに戻し、NY市場に入りました。
そして、7月30日に日銀会合前のタイミングを突いてサプライズ的な円買い介入が入りました。瞬間的に158円割れの場面も見られましたが、介入で下げた局面は米ドル買いの好機だと考える参加者も多く、金曜の東京市場では160円台後半まで米ドルの買い戻しが入った後、欧州市場で改めて円買い介入が入りました。
さらにNY市場では米財務省が主導してユーロ/円での円買い介入が行われたことでユーロ/円は181円台へ、米ドル/円も157円台半ばへと円が急騰して一週間を終えることとなりました。
今後の展開次第では取引レンジが円高方向にシフトしていく可能性
今回の日米協調介入は2011年の東日本大震災以来、円買いに限れば1998年以来28年ぶりとなり、日本だけでなく米国も最近の円安を懸念していたことが明確になりました。片山財務相は8月3日午前に今回の日米協調介入について説明し、「更なる協調介入を実施することも躊躇しない」とも言及し、追加的な介入の可能性を示唆しました。
振り返ると、2026年1月に米財務省主導で米ドル/円のレートチェックが行われましたが、その頃から米国は円安の影響が米国に及ぶことを懸念していたと考えられます。当時は円安の要因である日本国債の下落(長期金利上昇)が米国債に波及することが最大の懸念であったと考えられますが、今回は、大規模な介入が継続することに伴う日本による米国債売却を避けたい、という意図があったのかと思います。
日本の財務省が「米国債を担保に米通貨当局からドル資金を調達する仕組みがある」と紹介したことで、介入余力があることをアピールするとともに、米財務省としては米国債の売却を阻止したいという思惑があったと見られます。
また、米国の協調介入が米ドル/円ではなくユーロ/円で行われたことから、米ドル/円だけでなく、クロス円全般での円安にも懸念を示し、米ドル高是正ではなく円安是正であるということを明確にしたと言えるでしょう。
当面は160円の大台が強いレジスタンスとなり、今後の展開次第では取引レンジが5円、10円と円高方向にシフトしていくことも視野に入れたほうが良さそうです。
多くの市場参加者が「夏休み相場だ」と油断していたところに、大きく流れを変える為替政策に関する協議が進んでいたことになります。今後は大きく円売りポジションを膨らませていた、シカゴ通貨先物市場の投機筋(7月28日時点で約16.3万枚の円売り)の動きが気になるところです。
米ドル/円チャート(週足)、円急騰で移動平均線下抜け1週目
長期的な判断は週足で行います。
米ドル/円は介入による円急騰で2025年安値を起点とした平行上昇チャンネルの下限を割り込む展開となり、20週移動平均線も一気に下抜けました。おそらく今週(8月3日週)も下抜ければ、2週連続での下抜けとなり、下降トレンドへ転換する可能性が高いと言えるでしょう。
今回の介入は日米協調介入となったことで、これまでの円安の動きに対するスムージング・オペレーションから円高方向への転換を図るという為替政策の変更と言える重要な転換点となったかもしれません。
当面はドルの戻り売りが強まり、160円の大台が逆に遠くなったという印象です。現在、平行チャンネル下限が158円台半ばにありレジスタンスとなりやすい水準です。一方で、下値は5月安値155.02、2025年安値から2026年高値に対する38.2%押しに当たる154.701円、そして155円水準を視野に入れる展開になってきたとみています。
・上昇トレンド=週足終値が移動平均線の上にある
・下降トレンド=週足終値が移動平均線の下にある
トレンド転換の判断はダマシを排除するため、2週連続で移動平均線を上回るか、下回った時にトレンドが転換したという見方をします。
米ドル/円チャート(日足)、7月30日にDC(デッド・クロス)へ転換
短期的な判断は日足で行います。
7月7日以降のゴールデン・クロス(GC)状態から為替介入初日の7月30日にデッド・クロス(DC)へ転換しました。円急騰の動きがあるため、ここから簡単にはGCへは転換しませんが、今後、GCが出た後にDCへ転じる局面では、米ドル売りが殺到する展開が予想されます。
当面は戻りを確認したいと考える参加者が増えるでしょうが、本日の共同声明の内容次第では戻り自体がほとんどないまま、さらに円高に動く可能性もあります。
先週(7月27日週)のFOMCまではまだ国内勢も米ドル売りが多かったです。しかし、為替介入前にかなりの米ドル売りが解消され、逆にコストの悪いドル買いポジションまで出てきたという流れのため、シカゴ通貨先物の円売りポジションと併せ、今後の戻り売りはかなり強力になってくるのではないでしょうか。
・買いシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を下から上に抜くGC
・売りシグナル=終値移動平均線が始値移動平均線を上から下に抜くDC
短期上昇トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の上で推移し、短期下降トレンドの間は終値移動平均線が始値移動平均線の下で推移します。通常の2本の移動平均線で言えば、終値が短期線の役割、始値が長期線の役割を果たしていると考えるとわかりやすいでしょう。
※マネックストレーダーFXでは、移動平均線の設定画面で始値を選択することができます。
ユーロ/米ドルは横方向の動きが続く
ユーロ/米ドルのチャートから見ていきます。
週足チャート(図表3)では、ユーロ/米ドルも米ドル/円の円急騰を受けて、ユーロ買い・米ドル売りの動きとなりました。現状は下降ウェッジの上限(緑のライン)で上値を抑えられていますが、20週移動平均線に近づいてきたこともあり、この水準を上抜けるとユーロ/米ドルでも米ドル売りが加速しやすい展開になると考えられます。
日足チャート(図表4)では7月29日にゴールデン・クロス(GC)に転換しました。2本の移動平均線の距離が離れていますので、短期的にはユーロ/米ドルの上昇トレンドが継続しやすい状況にあります。
ユーロ/円は移動平均線下抜け1週目、下降トレンドへの転換目前
ユーロ/円(図表5)は20週移動平均線を下抜けてから、1週目で大きく方向転換してきましたが、協調介入で米国はユーロ/円で円買いを実施したことでクロス円でも円安が進み過ぎていたとの判断になります。おそらく今週(8月3日週)の週末の引けも移動平均線を下回りそうですから、下降トレンドへの転換目前と言えるでしょう。
日足チャート(図表6)では7月30日の介入初日の円急騰を受け、デッド・クロス(DC)へと転換しました。サプライズとなるユーロ/円での円買い介入が入ったことで当面はユーロ/円でも戻り売りを考えるしかありません。
先週(7月27日週)は激しい週後半となりましたが、しばらくは荒れ模様が続きそうです。今週も良いトレードを!

