先週(10月12日週)の金(ゴールド)相場、コアウィーブ・ショックでも小幅安にとどまる

米ドル建て金価格は、10月9日の4,194ドルから10月16日に4,166ドルへ下落し、週間では約0.7%安となった。CME金先物も0.8%安と、2週ぶりの値下がりとなった。週半ばには一時4,100ドルを割り込む場面も見られたものの、その後持ち直し、下げ幅は小幅にとどまった。

一方、円建て金価格は、米ドル/円が158.31円から158.02円へ0.2%安と小幅に円高となったことで、下落率は米ドル建てをやや上回った。

【図表1】先週(10月12日週)の金(ゴールド)相場
出所:Bloombergよりマネックス証券作成(金価格は1トロイオンスあたりの価格、円建て価格はUSD建て×米ドル/円で算出)

値動きの背景:リスク回避が広がるなか、米金利の低下と米ドル安が金を下支え

先週(10月12日週)の金は、米国の利上げ観測とAI関連株の急落に揺さぶられながらも、米金利の低下と米ドル安に支えられ、小幅安にとどまった。米10年実質金利は2.89%から2.72%へ低下し、ドル指数も102.21から101.84へ下がった。

週初は、ロシア・ウクライナのエネルギー施設への攻撃停止(エネルギー停戦)を巡る期待から原油が下がり、金は一時4,200ドル台まで買われた。しかし、イランが支援するイエメンの武装組織フーシ派が、サウジアラビアの首都リヤドの国際空港を相次いで攻撃。さらに、格付け会社フィッチがフランスの格下げに言及してユーロが売られたことも重なり、原油と米ドルが上がるなか、金は反落した。

その後、9月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回ると、10月の追加利上げ観測が急速に強まり、米金利が上昇。これによりドル指数が約1年半ぶりの高値まで上がり、金は一時4,100ドルを割り込んだ。

ところが、AIインフラ事業を手掛けるコアウィーブ[CRWV]の社債と株価が、債務負担への懸念から急落すると、AI関連株全体に売りが波及した(コアウィーブ・ショック)。株式市場が動揺するなか、逃避先として米国債が買われて利回りが低下し、米ドルも軟化した。これを受けて金は一転して買い戻され、CPI後の下げをほぼ取り戻した。

週の終盤には、ウォーシュFRB議長がバンコクでの国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会で10月の利上げを示唆せず、利上げ観測は一段と後退した。ただ、ウクライナがエネルギー停戦の打ち切りを表明し、ホルムズ海峡での船舶攻撃も続いて原油がさらに上昇した。こうしたなか、物価高への警戒から12月の利上げ観測は根強く残り、金は上値の重い展開となった。

需給面の動き:金ETFへの流入は10月16日に集中、投機筋の買い越しは5週続けて縮小

代表的な金ETFであるSPDRゴールド・シェア[GLD]には、週間で約7.9億ドルが流入した。週半ばまでは流出入が拮抗していたが、最終日に約6.9億ドルと、1日としては9月初め以来の大きな流入があった。

【図表2】金ETF[GLD]日次純流出入(百万ドル)
出所:SPDRヒストリカルデータ、Bloombergよりマネックス証券作成

CFTCが10月16日に公表した10月13日時点のデータでは、CME金先物の投機筋(Non-Commercial)のロングは245,300枚と前週から103枚減り、ショートは2,353枚増えて37,421枚となった。差し引きの買い越しは20.8万枚と0.2万枚縮小し、8月上旬以来の低さで縮小は5週連続となった。

【図表3】CFTC金先物 投機筋ネット買い越し(直近12週、千枚)
出所:CFTC週次レポートよりマネックス証券作成

その他、インドでは輸入関税の大幅な引き上げなどで9月の金輸入が前年から大きく落ち込み、金の供給が細ったインド国内では、金価格が3ヶ月超ぶりに国際価格を上回った。 

今週(10月19日週)の3つの注目ポイント、予想レンジは上値は4,400ドル、下値は4,000ドル

今週の金(2026年10月19日週)は、米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にした米金利・米ドルの動き、コアウィーブ・ショックで広がったAI関連の信用不安の行方、ホルムズ海峡を巡る原油価格の行方が相場を左右しそうだ。

まず、金融政策の面では、27~28日のFOMCを控えて当局者が発言を控える期間に入り、市場には様子見ムードが広がりやすい。今週は主要な米経済指標も少なく、米金利と米ドル、ひいては金も、AI関連株や原油の動きに振らされやすい。

AI関連の信用不安を巡っては、21日に発表されるメタ・プラットフォームズ[META]の7~9月期決算に注目したい。AI投資の計画や資金繰りへの不安が和らげば、先週の米国債買いが巻き戻されて長期金利が戻り、金の上値は重くなることが予想される。一方、不安が再燃した場合は、米国債へ再び資金が逃げ、長期金利の低下が金を支える可能性がある。

米イラン情勢を巡っては、ホルムズ海峡の再開案に米国が応じるかが分かれ目となる。イランは18日、米国が条件を受け入れれば6日以内に再開できると表明したが、米国は核開発の制限を求め、トランプ米大統領も中間選挙(11月3日)前の攻撃は否定しつつ、軍事行動の再開をにおわせる。海峡での船舶攻撃やフーシ派によるサウジアラビアへの攻撃が続いて原油高が長引けば、利上げ観測が強まり、金の重しになりやすい。協議が動き出して原油が下がれば、金には追い風となる。

直近の金現物の価格予想レンジとして、上値は4,400ドル、下値は4,000ドルを意識する。