第2四半期決算に注目、「通期業績計画の修正」から探る投資戦略

10月に入り、3月期決算企業の第2四半期決算発表が始まっています。これから11月中旬にかけて決算発表が相次ぐなか、注目したいのが、会社側の通期営業利益計画の修正です。

第2四半期は年度の折り返し地点にあたります。企業の足元の業績だけでなく、通期の会社計画がどのように見直されるのかも、今後の業績や株価動向を考えるうえで重要なポイントになります。
    
そこで今回は、第2四半期決算発表時の会社側の通期営業利益計画の修正に着目し、その後の業績の着地と株価パフォーマンスを過去のデータから検証するとともに、その結果を踏まえた投資戦略を紹介します。

決算発表は、投資対象となる銘柄を選別するうえで重要な機会です。決算発表では、企業の業績実績が明らかになり、売上高や利益がどのように推移しているのかを確認できます。さらに、会社側が公表する今後の業績計画やその修正は、企業の先行きを判断する重要な材料となり、株価にも影響を与えます。こうした新たな情報をもとに、投資対象を見直すことができるのが決算発表のタイミングです。

今から約3ヶ月前に行われた第1四半期決算についても、本連載では決算発表を活用した投資戦略を紹介しました。2026年7月1日付の記事「【日本株】第1四半期決算で会社計画を上方修正した企業の実力、業績の着地と株価パフォーマンスの両面から検証」では、第1四半期決算で会社側が通期営業利益計画を上方修正した銘柄に注目しました。

年度が始まって間もない第1四半期の段階で、会社側が通期営業利益計画を引き上げることは、今後の業績に対する前向きな見通しを示すものと考えられます。実際、過去のデータを検証したところ、こうした銘柄に第1四半期決算発表後に投資する戦略では、良好な株価パフォーマンスが確認されました。詳しい検証結果については、前述の記事をご参照ください。

第2四半期で「初めて上方修正」した銘柄を狙う

では、第2四半期決算では、どのような銘柄に注目すればよいのでしょうか。

今回紹介するのは、第1四半期決算では通期営業利益計画を上方修正しなかった銘柄のなかから、第2四半期決算で新たに上方修正した銘柄を選ぶ戦略です。

第1四半期決算ですでに上方修正した銘柄は、その時点で業績改善への期待が高まり、株価にも一定程度織り込まれている可能性があります。一方、第1四半期では会社計画を据え置き、第2四半期になって初めて上方修正した銘柄は、業績改善が新たに評価される余地があると考えられます。そこで今回は、あえて第1四半期で上方修正した銘柄を対象から外し、第2四半期での上方修正に注目することにしました。

具体的な銘柄の選び方を示したのが図表1です。

【図表1】2026年3月期の営業利益について「第1四半期据え置き・第2四半期上方修正」と「上方着地」の判定イメージ
出所:マネックス証券作成

まず、第1四半期決算発表時点で、会社側の通期営業利益計画が期初計画から修正されなかった銘柄に絞ります。そのうえで、第2四半期決算発表時に、会社側が通期営業利益計画を上方修正した銘柄を抽出します。これが今回の投資対象です。

こうした銘柄は、第2四半期決算発表後にどのような株価パフォーマンスを示すのでしょうか。会社計画の上方修正が株式市場でどのように評価されるのか、過去のデータを使って検証してみましょう。

上方修正後の株価は3ヶ月後まで6年連続プラス

実際に、第1四半期では会社計画を据え置き、第2四半期で上方修正した銘柄について、決算発表後の株価パフォーマンスを検証しました。

投資期間によってパフォーマンスがどのように異なるのかを確認するため、今回は2週間後まで、3ヶ月後まで、翌年3月末までの3つの期間を対象としました。

投資タイミングは、第2四半期決算発表日の翌営業日の終値としています。これは、決算発表の内容を確認してから投資することを想定したものです。

また、株価は個別企業の業績だけでなく、市場全体の動向にも左右されます。そこで、各銘柄の配当込みリターンから、同じ期間における比較対象銘柄の平均リターンを差し引いた「超過リターン」を用いて評価しました。比較対象は、各年度のTOPIX構成銘柄のうち、3月期決算企業から金融4業種を除いた銘柄としています。

結果を示したのが図表2です。

投資期間別で見る、上方修正銘柄の「超過リターン」検証結果

【図表2】第1四半期に会社側の通期営業利益計画を据え置き、第2四半期に上方修正した銘柄の超過リターン
  

【図表2】第1四半期に会社側の通期営業利益計画を据え置き、第2四半期に上方修正した銘柄の超過リターン
注1: 集計期間は2021年3月期~2026年3月期。横軸の各決算期は、それぞれ前年度に発表された第1四半期・第2四半期決算を対象とする。例えば、2026年3月期は2025年度の第1四半期・第2四半期決算を示す
注2: 対象は各年度のTOPIX構成銘柄のうち、3月期決算企業。ただし、金融4業種(銀行業、証券・商品先物取引業、保険業、その他金融業)を除く
注3: 対象銘柄は、第1四半期決算発表時点の会社側の通期営業利益計画が期初計画と一致し、第2四半期決算発表時点の同計画が第1四半期決算発表時点の計画を上回った銘柄
注4: リターンは、各銘柄の第2四半期決算発表日の翌営業日の終値を起点として、2週間後、3ヶ月後、翌年3月末までの配当込みリターンを算出。応当日が非営業日の場合は、直前の営業日の終値を使用
注5: 超過リターンは、各銘柄について、同じ起点・同じ終点で算出した、当該年度のTOPIX構成銘柄のうち3月期決算企業(金融4業種を除く)の平均リターンを差し引いて算出。図中の数値は、各決算期の該当銘柄の超過リターンの平均値
出所: QUICK Workstation Astra Managerを用いて、マネックス証券作成

分析結果から、次のことが分かります。

まず、2週間後までの超過リターンを見ると、2021年3月期から2026年3月期までのすべての年度でプラスとなりました。超過リターンは0.1%から1.3%と小幅ですが、第2四半期決算発表後の短期間でも、比較対象銘柄の平均を上回る結果となっています。

次に、3ヶ月後までの超過リターンを見ると、こちらもすべての年度でプラスとなりました。2021年3月期から2025年3月期までは0.8%から2.1%の範囲でしたが、2026年3月期には4.9%と、特に高いパフォーマンスを示しています。投資期間を3ヶ月後まで延ばすことで、2週間後までと比べて超過リターンが大きくなる年度が多く見られました。

データが示す有効性、3ヶ月から年度末までの保有がカギ

さらに、翌年3月末まで保有した場合も、6年間のうち5年間でプラスの超過リターンとなりました。特に2024年3月期は3.9%、2023年3月期は2.7%と、比較対象銘柄の平均を上回っています。

一方、2025年3月期は、3ヶ月後までの超過リターンが1.6%とプラスだったものの、翌年3月末まででは▲0.8%とマイナスになりました。つまり、第2四半期決算発表後の数ヶ月間は良好なパフォーマンスを示していても、その後の株価動向によっては、年度末までの超過リターンがマイナスとなる場合もあります。

それでも、今回の検証では、3ヶ月後までの超過リターンが6年連続でプラスとなり、翌年3月末まででも6年間のうち5年間でプラスという結果が得られました。第1四半期では会社計画を据え置き、第2四半期で上方修正した銘柄に注目する戦略は、株価パフォーマンスの面から一定の有効性が期待できそうです。

今回の投資戦略では、短期的な株価上昇だけでなく、第2四半期決算発表後から翌年3月末までの保有を基本的な投資期間として想定します。今年の第2四半期決算であれば、2027年3月末までの保有を投資戦略として考えます。

本決算でも約8割以上が「上方着地」

業績の上振れは続くか?上方修正銘柄の「その後」を検証

では、こうした良好な株価パフォーマンスの背景には、何があるのでしょうか。その大きな理由として考えられるのが、その後も業績の改善が続いていることです。

そこで、第1四半期では会社側の通期営業利益計画を据え置き、第2四半期で上方修正した銘柄について、本決算の営業利益実績が、第2四半期決算発表時点の会社計画を上回ったかを調べました。ここでは、本決算の営業利益実績が第2四半期時点の会社計画を上回った場合を「上方着地」、下回った場合を「下方着地」としています。

結果を示したのが図表3です。

【図表3】第1四半期に会社側の通期営業利益計画を据え置き、第2四半期に上方修正した銘柄の本決算着地割合
注1: 集計期間は2021年3月期~2026年3月期
注2: 対象は各年度のTOPIX構成銘柄のうち、3月期決算企業。ただし、金融4業種(銀行業、証券・商品先物取引業、保険業、その他金融業)を除く
注3: 対象銘柄は、第1四半期決算発表時点の会社側の通期営業利益計画が期初計画と一致し、第2四半期決算発表時点の同計画が第1四半期決算発表時点の計画を上回った銘柄
注4: 「上方着地」は本決算の営業利益実績が第2四半期決算発表時点の会社側の通期営業利益計画を上回った場合、「一致」は同計画と一致した場合、「下方着地」は同計画を下回った場合を指す
注5: 各決算期の割合は、注3の条件に該当する銘柄数を母数として算出
出所: QUICK Workstation Astra Managerを用いて、マネックス証券作成

注目したいのは、上方着地の割合の高さです。2021年3月期から2026年3月期まで、上方着地の割合はいずれの年度も約8割以上となりました。最も低かった2023年3月期でも78%で、2021年3月期には92%、直近の2026年3月期でも87%に達しています。

業績改善の継続性が株価を押し上げる

つまり、第1四半期では会社計画を据え置きながら、第2四半期になって上方修正した企業は、そこで業績改善が終わるのではなく、本決算でも第2四半期時点の会社計画をさらに上回るケースが多かったことが分かります。

第2四半期での上方修正が、その後のさらなる業績改善につながる可能性を示していることが、図表2で確認した良好な株価パフォーマンスの背景になっていると考えられます。

以上を踏まえると、これから本格化する第2四半期決算では、第1四半期で会社側の通期営業利益計画を据え置き、第2四半期で上方修正した銘柄を選ぶことが一つの投資戦略となります。

2026年の第2四半期決算でも、この条件に該当する銘柄を探し、決算発表後から2027年3月末までの保有を基本的な投資期間として考えます。これから11月中旬にかけて決算発表が相次ぐなかでの効果的な戦略として注目されます。

実践編:ツールを使って該当銘柄の「業績予想修正」を確認する方法

2026年7月1日付の記事「【日本株】第1四半期決算で会社計画を上方修正した企業の実力、業績の着地と株価パフォーマンスの両面から検証」で取り上げていますので、こちらをご参照ください。