世界的長期金利上昇の中でユーロ安・米ドル高へブレーク
ユーロ/米ドルは、月足チャートで見ると、過去1年以上も1.14~1.19米ドルと狭いレンジでの一進一退が続いてきた。ただそうしたレンジを、この10月にかけて「下放れ」が鮮明になってきた(図表1参照)。
ユーロ安・米ドル高は、基本的には独米金利差(ユーロ劣位・米ドル優位)拡大に沿ったもの。世界的な長期金利上昇が広がる中で、独金利より相対的に米金利の水準が高いことから独米金利差のユーロ劣位・米ドル優位が拡大し、それが1年以上と長く続いたユーロ/米ドルのレンジ相場がユーロ安・米ドル高方向へ「下放れ」となるきっかけになったということだろう(図表2参照)。
世界的な長期金利上昇は、最近はフランスなど欧州主導の印象もある。その欧州主導の長期金利上昇をきっかけに、長く続いたレンジ相場をユーロ安・米ドル高方向にブレークした動きはこの先どこまで続くのか。
1月の1.2米ドルから展開していたユーロ安トレンド?
9月までレンジ相場で方向感のない動きが続いてきたユーロ/米ドルだったが、トレンド判断で参考になる52週MA(移動平均線)を、すでに5月頃から下回る状況が基本的に続いてきた(図表3参照)。このように52週MAを長く下回る動きは、経験的にはユーロ/米ドルの下落が一時的ではなく継続的、つまりユーロ安・米ドル高へトレンド転換した可能性を示していた。
以上からすると、ユーロ/米ドルは1月の1.2米ドルを起点に下落トレンドが続いており、最近にかけてのレンジ相場の下放れも、基本的にはそうした下落トレンドを再確認したという意味と考えられる。
ユーロ安が限られるならその理由とは?
9月まで続いた方向感のない展開からすると分かりにくかったものの、実は2026年1月からユーロ安・米ドル高トレンドが展開しており、最近にかけてのレンジ下放れはそれを再確認したという意味になるのではないか。それでは、すでに約9ヶ月続いたユーロ安・米ドル高トレンドは、この先さらにいつまで続くことになるのか。
ユーロ/米ドルの5年MAかい離率を見ると、2025年以降いわゆる三角保合いをユーロ高・米ドル安方向へブレークしたように見える。これは、トランプ政権の誕生などにより、基軸通貨・米ドルの信認の揺らぎを受けた新たな長期米ドル安トレンドの始まりの結果と考えられる。
最近にかけてのユーロ/米ドルの反落は、それまで続いてきた三角保合いの上限まで戻った動きのように見える(図表4参照)。その意味では、トランプ政権誕生以降の信認の揺らぎを受けた米ドル安トレンドを試す動きということではないか。
ユーロ/米ドルは、長く続いたレンジをユーロ安・米ドル高方向にブレークしたものの、52週MAとの関係などを見ると、そもそもユーロ安・米ドル高トレンドはすでに1年近く続いていた可能性があった。その上で、トランプ政権誕生を受けた長期的な米ドル安トレンドへの転換が正しいのであれば、当面のユーロ安・米ドル高の余地も限られることになるのではないか。

