1年近く続いた小動きの「下放れ」が広がるユーロ/円
ユーロ/円は、過去1年近く、180~187円を中心とする狭いレンジで方向感のない小動きが続いてきたが、ここに来てそのレンジがユーロ安・円高方向へ「下放れ」に向かい始めた(図表1参照)。
ユーロ/円は2020年からの上昇トレンドが長期化し、最高値を大きく更新するというまさに「歴史的上昇相場」が展開してきた。2024年7月に、米ドル/円の急落に連れる形で大きく下落する場面があったものの、その後は2024年7月の高値も大きく更新した(図表2参照)。円安阻止を目的とした為替介入への警戒感が強い米ドル/円とは異なり、ユーロ/円などのクロス円は円安が進みやすかったということではないか。
ただ、過去1年近くはそうした「歴史的上昇相場」も足踏みが続くようになった。そして高値圏での小動きが続いていたが、上述のようにここに来て小動きのレンジから「下放れ」始めたわけだ。
クロス円の「歴史的上昇相場」がついに終了
同じようなことは、主要なクロス円にほぼ共通する現象と言えそうだ。例えば豪ドル/円も、2026年に入る前から110~115円というたった5円程度の狭いレンジでの小動きが続いていたが、最近になって、そのレンジから豪ドル安・円高方向に「下放れ」が広がり出した(図表3参照)。
豪ドル/円も、1990年以来となる110円を超える水準まで上昇するなどやはり「歴史的上昇相場」が展開していたが、それがついに終わりを迎え、下落トレンドへ転換することになるか注目される。
米ドル/円より強いクロス円の円安「行き過ぎ」懸念
円安阻止介入への警戒感の強い米ドル/円に比べ、介入警戒感が薄いクロス円では相対的に円安が進みやすく、その結果円安の「行き過ぎ」懸念も米ドル/円以上に強くなっていた。例えば、豪ドル/円の5年MA(移動平均線)かい離率は2026年に入ってからも一時20%以上に拡大、足下でもなお13%程度となっている(図表4参照)。
これに対して、米ドル/円の5年MAかい離率は、月末終値ベースで見ると、2026年はこれまでのところ15%未満で推移しており、足下は8%程度と10%を大きく下回っている(図表5参照)。9月22日に行われた日米首脳会談などで改めて円の過小評価が指摘されたが、5年MAなど長期移動平均線からのかい離率を参考にすると、円の過小評価は米ドル/円以上にクロス円が目立っている。
ここに来て、主要なクロス円が長く続いた高値圏での小動きから、円高方向へ「下放れ」の可能性が出てきたことは、まさに円の過小評価の見直しが本格化するかを考える上で重要な目安になるのではないか。

