先週(9月21日週)の金(ゴールド)相場
米ドル建て金価格は、9月18日の4,379ドルから9月25日に4,285ドルへ下落し、週間では約2.1%安となった。CME金先物も2.3%安と、2週ぶりの値下がりとなった。週半ば以降に下落圧力がかかり、4,250ドル割れを試す場面がみられたものの、同水準では切り返した。
一方、円建て金価格は、米ドル/円が157円台まで上昇し小幅に円安となったことで1.9%安と、下落率は米ドル建てを下回った。
値動きの背景:米金利が歴史的な高水準に達するなか、金は下値を切り下げ
先週(9月21日週)の金は、米長期金利の上昇と米ドル高に挟まれ、下落した。米10年実質金利は2.67%から2.82%へ上がり、ドル指数は100.22から100.97へ上昇した。
前週9月16日、17日のFOMC(米連邦公開市場委員会)を受けて年内のもう一段の引き締めが続くとの見通しが広がるなか、週明けは中東情勢の緩和が相場を主導した。トランプ米大統領がイランのペゼシュキアン大統領との会談に前向きな姿勢を示し、ドローン攻撃で止まっていたサウジアラビアの東西パイプラインも一部稼働が再開した。これにより供給不安が薄れ、原油は約2週間ぶりの安値まで下落。中東情勢の緊張緩和とAI半導体株の上昇を追い風に株式が買われ、資金がリスク資産に向かうなかで金は上値を切り下げた。
その後、9月23日を境に地合いが悪化した。米企業の景況感が2021年7月以来の強さとなり、景気の底堅さが追加利上げの思惑を強めた。また、イランが米国に屈しない姿勢を示し、フーシ派がサウジアラビアを攻撃したことで原油が反発した。さらにバーFRB(米連邦準備制度理事会)理事が追加利上げの必要性に言及し、国債入札も低調だったことが重なって、10年債利回りは5.2%台と2007年以来の水準に達した。地政学の緊張が再び強まっても逃避買いは入らず、むしろインフレと利上げ観測が意識されるなかで、金利を生まない金は4,200ドル台半ばまで売られた。
週末にかけては、米国とイランがホルムズ海峡の段階的な再開を協議していると伝わって原油は高値から反落した。片山財務相の発言を受けて円が買い戻される場面もあったが、ワシントンで開かれていた米中首脳会談の結果を見極めたいとの空気もあり、金の戻りは小幅にとどまった。
需給面の動き:金ETFと投機筋は持ち高を圧縮、中国の現物需要は過去最高
代表的な金ETFであるSPDRゴールド・シェア[GLD]からは週間で約3.5億ドルが流出した。最も大きかったのは、週間の安値をつけた9月24日の約3.1億ドルである。
一方、CFTCが9月25日に公表した9月22日時点のデータでは、CME金先物の投機筋(Non-Commercial)のロングは253,982枚と前週から4,077枚減り、ショートは408枚増の28,129枚となった。差し引きの買い越しは22.6万枚と0.4万枚縮小し、ロングの減少は2週続いている。8月末に積み上がった持ち高の整理が、なお途上にある。
現物側の動きは対照的である。中国の金輸入は8月までの累計で前年の年間実績を上回り、過去最高の水準に達したことが週内に伝わった。人民元高に伴う輸入割当の拡大や、地金・金ETFを中心とした投資需要などが背景にある。
米国の投資マネーが細る一方で、中国の現物需要は衰えていない。
今週(9月28日週)の注目ポイント
今週(9月28日週)は、8月米PCE物価指数(9月30日発表)と9月米雇用統計(10月2日発表)が、追加利上げの確度を測る材料となる。
今回のPCEでは、原油が100ドルを超えた9月の上昇は反映されないものの、8月までの値上がりがエネルギー以外へ広がっているかどうかが焦点となる。雇用統計では、非農業部門雇用者数が約9万人増と8月から鈍る一方、失業率は4.1%前後で横ばいの見込みだ。物価か雇用のいずれかが強ければ、年内の追加利上げ観測が固まり、米金利と米ドルの上昇が金を押し下げる可能性がある。逆にそろって弱ければ、売りが行き過ぎたとの見方から買い戻しが入りやすい。ブラックアウトが明けたバーFRB理事やジェファーソンFRB副議長の発言も、指標の受け止めを補強する。
米中首脳会談は、300億ドル相当の関税引き下げとAI分野の対話開始で決着した。関税の緩和は輸入物価を押し下げ、インフレ面では利上げ観測を和らげる方向に働く。ただしAI半導体株を中心にリスク選好を後押しする面もあり、先週(9月21日週)のように資金が株式へ向かえば金には向かい風となる。
米イラン情勢は、緊張が長引く公算が大きい。イランが示したホルムズ海峡の7日以内の再開案を、トランプ米大統領は9月26日に拒否した。海峡の閉鎖が続くかぎり原油は高止まりし、インフレ懸念から金利に上昇圧力がかかりやすい。緊張が再び強まれば、原油高と金利上昇に米ドル高が重なり、金は下げやすい。協議が前進すれば、原油安と金利低下が買い戻しを促す。
もっとも、米金利上昇の理由が景気とインフレから財政への不安に移れば、構図は変わりうる。8月には米財務省による長期国債の買い戻し増額を契機に財政の持続性が意識され、米ドルが売られて金利上昇と金高が同時に進んだ。米長期金利が歴史的な高値圏にあるなか、上昇の理由が財政に移って米ドル安を伴えば、金は逃避資産として買いを集める展開も想定される。
需給面では、金ETFからの流出が止まるかが目安となる。投機筋の持ち高整理はなお途上で、売りが一巡するまでは戻りも限られやすい。中国の実需は下値を支えるが、相場を押し上げる力までは見込みにくい。
直近の金現物の価格予想レンジとして、上値は4,400ドル、下値は4,100ドルを意識する。

