先週(9月7日週)の金(ゴールド)相場

米ドル建て金価格は、9月4日の4,430ドルから9月11日には4,349ドルへ下落し、週間では約1.8%安となった。CME金先物も1.5%安と、3週続けての値下がりとなった。9月10日には再び4,300ドル近辺まで売られたが、同水準を明確に割り込むことはなく、下値の底堅さもうかがえる。

一方、円建て金価格は、米ドル/円が156円台から153円台へ1.7%の円高となったことで3.5%安と、前週(8月31日週)に続いて下げが米ドル建てを上回った。

【図表1】先週(9月7日週)の金(ゴールド)相場
出所:Bloombergよりマネックス証券作成
(金価格は1トロイオンスあたりの価格、円建て価格はUSD建て×米ドル/円で算出)

値動きの背景:原油急騰が米金利を押し上げ、金の逆風に

先週(9月7日週)の金は、中東での紛争拡大に伴う原油高が米金利を押し上げ、3週続けて下落した。米10年実質金利は2.43%から2.60%へ上昇し、ドル指数は99.18から99.12とほぼ横ばいだった。

週初から、米国とイランの攻撃の応酬に加え、イランの支援を受けるフーシ派がサウジアラビアの複数都市を攻撃し、紅海の出入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡にも緊張が広がった。ブレント原油が100ドルを突破すると、エネルギー高による物価上昇への警戒から米国債が売られた。米財務省が9月9日から長期債の買い戻しを増額したが、金利の上昇は止まらなかった。

一方、米ドルは週半ばにかけて弱含んだ。日銀の利上げ観測から円が約7ヶ月ぶりの高値圏まで買われ、欧州中央銀行(ECB)の会合を控えてユーロも底堅く推移したためで、米ドル安が金の下支えとなる場面もあった。

下げが加速したのは9月10日である。ブレント原油が5月以来の高値をつけ、ECB(欧州中央銀行)も中東情勢によるインフレ懸念を理由に利上げに踏み切った。主要国で引き締めの流れが強まるなか、米10年債利回りが2023年以来の水準へ一段と上昇し、金は再び4,300ドル近辺まで売られた。

9月11日発表の8月米CPIは、コアの伸びが市場予想を上回り、9月の利上げは9割近くまで織り込まれた。もっとも米FOMCを前に新たな動揺は広がらず、イランが「湾岸諸国とホルムズ海峡について協議する」と表明して原油も上げ一服となるなか、金は押し目買いで下げ幅を縮めた。

需給面の動き:ETFは流出、投機筋のロング減少は一服

代表的な金ETFであるSPDRゴールド・シェア[GLD]からは、レイバーデーで米国市場が休場となった9月7日を除く4営業日で約6.5億ドルが流出した。8月31日週の下値を支えた買いは続かず、米CPI発表後に一時4,400ドルを回復した9月11日にも約4億ドルが抜けた。

【図表2】金ETF(GLD)日次純流出入(百万ドル)
出所:SPDRヒストリカルデータ、Bloombergよりマネックス証券作成

一方、CFTCが9月11日に公表した9月8日時点のデータでは、CME金先物の投機筋(Non-Commercial)のロングは261,007枚と前週から522枚の小幅増にとどまり、ショートは3,314枚減の29,047枚となった。差し引きの買い越しは23.2万枚と0.4万枚拡大した。ショートの買い戻しが中心だが、前週に1.7万枚近く減ったロングは減少が一服した。

公的部門では、中国人民銀行が9月7日に公表した8月末の金保有高は22ヶ月連続の買い増しとなり、増加幅は2023年以来の大きさとなった。

ETFの資金流入は細ったが、投機筋の手仕舞いは一巡した可能性があり、公的部門の買いも続いている。

【図表3】金先物 投機筋ネット買い越し(直近12週、千枚)
出所:CFTC週次レポートよりマネックス証券作成

今週(9月14日週)の注目ポイント

今週(9月14日週)最大の材料は、9月15~16日のFOMCである。コアCPIの上振れで利上げとの見方が大勢となり、市場の関心は、同時に公表される経済見通しとウォーシュFRB議長の記者会見に移っている。追加利上げに慎重な姿勢がにじめば米金利の上昇に歯止めがかかり、金には追い風となる。逆に、原油高を理由に引き締めの継続が示されれば、金利上昇を通じて金は売られやすい。9月17~18日には日銀金融政策決定会合も控え、各国の金融引き締めが重なって意識されれば、金の下げ足を早める可能性もある。

米イラン情勢では、9月14日に予定されていたイランと湾岸諸国によるホルムズ海峡の協議が延期となり、海峡の通航再開をめぐる不透明感が再び強まっている。無人機攻撃を受けてサウジアラビアの主要な石油パイプラインも停止しており、供給懸念は海峡の外にも広がる。協議に進展が見られず、米イランの報復の応酬が一段と激しくなれば、原油と米金利が高止まりし、金の重しとなりやすい。

こうした中、安値圏で押し目買いが入り、金ETFに資金が戻るかも見どころとなる。投機筋の売り圧力が和らぎ、中国人民銀行の買い増しも続いていることから、相場を下支えする可能性がある。

直近の金現物の価格予想レンジとして、上値は4,500ドル、下値は4,200ドルを意識する。