先週(8月31日週)の金(ゴールド)相場

米ドル建て金価格は、8月28日の4,455ドルから9月4日に4,430ドルへ下落し、週間では約0.6%安となった。CME金先物も1.2%安と、2週続けての値下がりとなった。週内の値幅は大きく、9月1日に4,300ドル台前半まで売られた後、9月3日には4,400ドル台後半へ戻す往復の値動きとなった。

一方、円建て金価格は、米ドル/円が160円台から156円台へ2.4%の円高となったことで2.9%安と、下げが米ドル建てを大きく上回った。

【図表1】先週(8月31日週)の金(ゴールド)相場
出所:Bloombergよりマネックス証券作成(金価格は1トロイオンスあたりの価格、円建て価格はUSD建て×米ドル/円で算出)

値動きの背景:米利上げ観測が週内で交錯する中、価格も振れて小幅安

先週(8月31日週)の金は、米金融政策を巡る思惑が交錯する展開となり、週を通じては小幅安にとどまった。米10年実質金利は2.42%から2.43%とほぼ動かず、ドル指数も99.68から99.18へ0.5%低下するなど、どちらも限定的な値動きとなった。

週初は、ジャクソンホール会議で示されたウォーシュFRB議長のタカ派姿勢を引き継いで売りが先行した。そこへ米国とイランの相互攻撃が7月以来再開し、ホルムズ海峡を航行していたタンカーが被弾したことで原油が急伸。インフレ再燃への警戒から米国債が売られ、米金利が上昇するなか、金は4,300ドル台前半と2週間ぶりの安値まで売られた。

流れが変わったのは、民間雇用統計の伸びが1月以来の低さにとどまったためである。米金利の上昇が一服し、金は反発に転じた。さらに、ウォラーFRB理事が、インフレ鈍化の進展を確認できれば据え置きを支持すると述べると、米金利とドル指数はそろって低下。就任間もない議長との路線の違いが表面化し、4,400ドル台後半を回復した。

その後、8月米雇用統計が市場予想を大きく上回る伸びとなったことで、利上げ観測が再び強まり、金は4,400ドル台前半まで押し戻された。急伸と巻き戻しが相殺した一週間だった。

円建ての下げが大きかったのは、G20の場で米国が日本に利上げを促し、円が急騰したためである。日本の10年債利回りは1996年以来はじめて3%を上回った。

需給面の動き:金ETFへの資金流入が下値を支え、投機筋はロングを整理

代表的な金ETFであるSPDRゴールド・シェア[GLD]には週間で約13.5億ドルの資金が流入した。流入は安値圏にあった週前半に集中し、9月2日だけで約14億ドルを記録。値を戻した後は流出に転じ、下げたところを拾う動きに終始した。

【図表2】金ETF(GLD)日次純流出入
出所:SPDRヒストリカルデータ、Bloombergよりマネックス証券作成

一方、CFTCが9月4日に公表した9月1日時点のデータでは、CME金先物の投機筋(Non-Commercial)のロングは260,485枚と前週から16,674枚減り、ショートも1,464枚減の32,361枚となった。差し引きの買い越しは22.8万枚と1.5万枚縮小しており、8月末の急落を受けたロングの整理が数字に表れた。

投機筋が持ち高を落とすなかで、金ETFの買いが下値を支えた。

【図表3】金先物 投機筋ネット買い越し(直近12週、千枚)
出所:CFTC週次レポートよりマネックス証券作成

今週(9月7日週)の注目ポイント

今週(9月7日週)の焦点は、9月11日に発表される8月の米CPIである。ウォラーFRB理事が据え置き支持の条件に挙げたのがこの結果であり、9月16日のFOMCの5日前に発表されるため、9月の判断を事実上決める材料となる。原油は8月中も上昇したが、水準が切り上がったのは9月に入ってからで、今回の指標には十分に織り込まれていない可能性がある。予想を下回れば利上げ観測の後退が金の支えとなる一方、上振れすれば、9月の原油高が加わる前の段階でインフレの根強さが確認され、FOMCを控えて米金利の上昇が重石となる。

米・イラン情勢では、相互攻撃の再開で原油が高止まりしている。米軍の護衛が入ってもホルムズ海峡の通航は開戦前を大きく下回ったままで、供給不安が払しょくされていない。対立が長期化すれば、原油高がインフレ警戒と金利上昇圧力を残し、地政学リスクが金を押し上げる力は削がれる。ただし、緊張が米ドルへの信認を揺るがす段階まで進めば、金への逃避需要が高まる。協議が動いて原油が下げ、利上げ観測が後退する場合も、同様に金は買われやすい。

需給面では、下値を支えた金ETFの買いが続くかが試される。値を戻した局面では流出に転じており、買いの厚みはまだ確かめられていない。9月7日、中国人民銀行が公表する8月末の金保有高にも注目したい。21ヶ月続く買い越しがさらに伸びれば、高値圏でも公的部門の需要が衰えていないことになり、相場の下支え要因として意識されやすい。

直近の金現物の価格予想レンジとして、上値は4,600ドル、下値は4,300ドルを意識する。