国内債券、国内株式、外国債券、外国株式に25%ずつ投資するポートフォリオを考えてみます。投資した時点では株式と債券がそれぞれ50%ですが、分散投資は25%ずつ買えば完成するわけではありません。市場が動けば、そのリスク配分も変わっていくからです。

2026年4-6月の実際の市場の値動きを当てはめ、4月初めに100を25ずつ投資して一切売買しなかったとすると、6月末にはおおむね国内債券23%、国内株式26%、外国債券24%、外国株式27%となります。わずか3ヶ月で株式全体は50%から53%強へ上昇します。

さらに、同程度の株式優位の相場が7-9月にも続いたと仮定し、半年間リバランスしなければ、株式比率は約57%まで膨らみます。外国株式は29%程度、国内債券は21%程度となり、当初の「25%ずつ」とはかなり異なるポートフォリオになります。

問題は円グラフの形ではありません。投資家が受け入れているリスクそのものが変化することです。

例えば債券価格は変わらず、国内外の株式が一斉に20%下落するケースを考えます。当初の株式比率50%なら、株式下落によるポートフォリオの損失は10%です。ところが3ヶ月放置して株式比率が約53%になれば約10.7%、半年後に約57%まで上昇すれば約11.3%となります。

半年間放置しただけで、同じ株価ショックに対する損失額は当初より約13%大きくなります。値上がりした資産を売らなかった結果、市場が自動的にポートフォリオを高リスク化したのです。

ここにリバランスの意味があります。値上がりした資産を一部売り、比率が低下した資産を買うことで、当初選択したリスク量に戻します。相場の天井を当てることが目的なのではなく、意図しないリスクテイクを防ぐための仕組みと考えた方が分かりやすいでしょう。

もっとも、常に25%へ戻すことだけが正解でもありません。頻繁な売買にはコストがかかり、上昇トレンドを途中で切ることにもなります。そのため機関投資家は通常、一定の乖離を許容しながら資産配分を管理します。

2026年4-6月は、その考え方の違いが興味深い形で表れました。国家公務員共済組合連合会(KKR)は、外国株式が3割を超え、国内債券が2割を下回るところまで時価変動によるウェイトの乖離を許容しました。KKRは各資産の許容乖離幅を広く設定しており、25%を短期的に厳格な目標値とするより、市場環境に応じた柔軟性を重視しているとみられます。

一方、GPIFは株価が大きく上昇した後でも、年金特別会計分を除いた運用資産の構成は6月末時点でほぼ25%ずつに保たれていました。結果から見る限り、GPIFは市場変動によって膨らんだ株式ウェイトを抑え、基本ポートフォリオを強いアンカーとして運用したことがうかがえます。

同じ「25%×4」でも、KKRは一定範囲で市場に配分を動かさせ、GPIFはより積極的に元のリスク配分を維持します。この違いはリターンの追求姿勢というより、どこまでポートフォリオのリスクを変えさせるか、というリスク管理の考え方の違いと見るべきでしょう。

資産配分とは、何を何%買うかだけではありません。どこまで乖離を許し、どの時点で元に戻すのか。リバランスのルールまで決めて初めて、投資家が本当に受け入れるリスクが決まります。

余談ですが、GPIFに国内資産への投資を増やすよう求める議論が出ています。ただ、足元の運用を見る限り、GPIFは基本ポートフォリオを強い規律として運用していることがうかがえます。

そうしたGPIFが国内資産の目標比率を引き上げるのであれば、なぜ見直すのか、これまでとの違いについて、期待収益率やリスク等の面から、相応の説明が求められるでしょう。