先週(8月10日週)の金(ゴールド)相場

米ドル建て金価格は、8月7日の4,342ドルから8月14日に4,376ドルへ上昇し、週間では約0.8%高となった。CME金先物も週間で0.9%上昇したが、いずれも週半ばの高値からは押し戻されており、上値の重さが残る1週間となった。

一方、円建て金価格も前週比で上昇し、米ドル/円が円安方向に動いたため、米ドル建てを上回る1.8%高となった。

【図表1】先週(8月10日週)の金(ゴールド)相場
出所:Bloombergよりマネックス証券作成 ※金価格は1トロイオンスあたりの価格、円建て価格はUSD建て×米ドル/円で算出

値動きの背景:利上げ観測の後退で上昇も、4,500ドル手前の壁に阻まれる

先週(8月10日週)の金は、上昇して押し戻される往復の展開となった。週前半は米雇用統計を受けた利上げ観測の後退に加え、中国人民銀行による21ヶ月連続の金購入が明らかになったことが支えとなり、水準を切り上げた。7月の米消費者物価指数の鈍化も追い風となり、4,450ドル付近まで上昇し約2ヶ月ぶりの高値を記録した。

もっとも、米国とイランのホルムズ海峡を巡る協議が難航し、ブレント原油は90ドル付近まで上昇。エネルギー高がインフレを再燃させ利上げ観測を呼び戻す経路が意識され、地政学リスクは逃避需要よりもむしろ金の重しとして働いた。4,500ドルの節目を前に利益確定売りも強まり、上値は重くなった。その後、7月の米生産者物価の下振れを好感して米国株は史上最高値を更新するなか、リスク選好の強まりが逃避需要を一段と細らせ、金は軟調に推移した。

週末にかけては、米小売売上高が前月比0.6%の減少と大きく下振れたことで利上げ観測が再び後退し、金は持ち直した。しかし、週を通して米金融政策の先行き観測が上下に振れるなか、米10年実質金利は8月7日の2.39%から2.41%、ドル指数は99.54から99.67と横ばいにとどまり、その振れが相殺する形で金価格も0.8%高という小幅な着地となった。

需給面の動き:ETFに資金流入、投機筋の買い越しは12週で最大

代表的な金ETFであるSPDRゴールド・シェア[GLD]には週間で約8.4億ドルの資金が流入。8月13日には約3.6億ドルの資金流出が出たものの、週を通せば流入超を保っている。

一方、CFTCが8月14日に公表した8月11日時点のデータでは、CME金先物の投機筋(Non-Commercial)のロングは250,936枚、ショートは32,996枚であり、差し引き21.8万枚の買い越しとなった。前週からロングが23,923枚、ショートが3,617枚それぞれ増加し、ネットの買い越しは2.0万枚拡大。直近12週で最大の水準であり、4,500ドルを前に上値が抑えられた局面では、積み上がった買いポジションの手仕舞いが下げを大きくした面がありそうだ。

なお、中央銀行が買いを続ける一方で、民間の現物需要は価格上昇に押されている。ロイターによると、インドでは現物が2ヶ月超ぶりの大幅な割引で取引され、中国でも民間の買いは低調だった。公的部門の購入が下値を支える半面、値上がりが実需を細らせる構図にある。

【図表2】金ETF(GLD)日時純流出入
出所:SPDRヒストリカルデータ、Bloombergよりマネックス証券作成

今週(8月17日週)の注目ポイント

今週(8月17日週)は、FOMC議事要旨と米金利の動向が焦点となる。8月19日に公表される7月FOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨で、インフレ警戒や追加利上げへの支持が想定以上に強く示されれば、米金利・ドル高を通じて金には下押し圧力がかかりやすい。一方、景気や雇用の下振れリスクが重視されていたことが確認されれば、金には追い風となる。

足元では利上げ観測が後退する一方、米長期金利は高止まりしている。今週(8月17日週)は20年国債と30年TIPSの入札も予定されており、国債需要が弱ければ長期・実質金利の上昇を通じて金の上値を抑える可能性がある。反対に良好な入札結果を受けて金利が低下すれば、4,500ドルを再び試す材料となり得る。

米イラン情勢では、和平協議が停滞する中、ホルムズ海峡の通航が引き続き制約されている。米国も追加的な経済圧力や海上封鎖の継続を示しており、協議の進展に加え、海峡の通航状況や追加措置、それを受けた原油価格の動きを注視したい。緊張激化は安全資産として金を支える一方、原油高を通じてインフレ懸念や米金利を押し上げれば金の上値を抑える可能性がある。

金ETFへの資金流入や公的機関による準備金需要は下支え材料となる一方、上値では直近高値圏での利益確定売りも意識されるだろう。

直近の金現物の価格予想レンジとして、上値は4,500ドル、下値は4,200ドルを意識する。