2024年5月3日(金)23:00発表(日本時間)
米国 ISM非製造業景気指数

【1】結果:事前予想・前回結果いずれも下回り景気縮小圏へ

4月の米ISM非製造業景気指数は49.4を記録し、サービス業は2022年12月以来の景気縮小圏(50割れ)となりました。

ISM非製造業景気指数(4月)
結果:49.4 予想:52.0 
前回:51.4

【2】内容・注目点: 景気縮小圏への転落はトレンドになるか?

ISM非製造業景気指数とは、全米供給管理協会(ISM=Institute for Supply Management)が400社以上の購買(仕入れ)担当者を対象にアンケート調査を実施し、その調査結果を指数化したものです。米国経済ではサービス業の占める割合が大きく、本指数に注目が集まります。

今回4月の数値は49.4を記録し、2022年12月以来の景気縮小圏(50割れ)となりました。2022年12月の時は、1回限りの縮小圏への落ち込みでその後すぐに拡大圏に戻りましたが、今回の落ち込みがまた1回限りのものになるのか、それとも継続的な景気後退の始まりとなるのか、次回の結果にも注目して見極めることが必要です。

これに対して、ISM非製造業景況調査委員会のアンソニー・ニエベス委員長は、「インフレや地政学の動向は当時とは異なっており、1ヶ月で好転する保証はない」と述べつつも、「基準値の50%を下回っているからといって過度に興奮する必要もない」と記者会見で語っています。

【図表1】ISM非製造業景気指数推移
出所:米供給管理協会(ISM)、Bloombergのデータを基にマネックス証券作成
※ シャドーは景気後退期

図表2の通り内訳をみると、総合指数の主な低下要因は、事業活動・生産指数の大幅低下(57.4→50.9)で、4年ぶりの低水準となりました。次いで雇用、新規受注の低下が要因として挙げられます。

一方で、入荷遅延はやや上昇(45.4→48.5)しました。ただし、入荷遅延指数は構成指数で唯一の反転指標で、この指数が上昇するということは、入荷がより「遅延しつつある」ということを意味します。旺盛な需要に応えられず入荷が遅延している場合にはいい傾向と捉えられますが、今回事業活動や新規受注が低下していることを鑑みると、このところの海運まわりでのサプライチェーンの混乱等の影響も考えられます。入荷遅延の上昇分がなければ、総合指数はさらに悪化していたでしょう。

【図表2】ISM非製造業景気指数トレンド推移
出所:米供給管理協会(ISM)、Bloombergよりマネックス証券作成

また支払価格指数は、前回3月には落ち着きを見せましたが、今回4月は59.2と再び上昇を示しました。支払価格の上昇によるインフレ圧力が続きます。

【図表3】支払価格の推移
出所:米供給管理協会(ISM)、Bloombergよりマネックス証券作成

企業担当者のコメントを見ても、インフレが目先の課題となっていることが伝わります。鳥インフルエンザの影響による鶏肉や卵の価格上昇、物流コスト・賃金コスト上昇によるインフレ圧力などが指摘されており、やはりインフレ懸念は拭えない様子です。ビジネス状況については全体的に好調な様子ですが、情報業は「低調」と述べており、製造業と同様に強弱ある内容でした。

【3】所感:多少の景気減速は歓迎すべき。引き続きインフレ動向に注目

今回、サービス業は予想外の景気縮小を示しましたが、インフレ退治を掲げ高金利が維持されている現状においては、多少の景気減速はインフレ鈍化の思惑が働き金融緩和の材料となるため、投資家にとっては歓迎すべきニュースと言えるでしょう。5月3日公表された雇用統計も予想以上の雇用情勢の悪化を示し、高金利政策の効果は着実とみられています。

一方で、支払価格の上昇や担当者のコメントからもインフレ懸念は引き続き続いており、依然として物価動向には注意が必要です。来週5月13日週には、米生産者物価指数(PPI)、米消費者物価指数(CPI)が公表されます。

フィナンシャル・インテリジェンス部 岡 功祐