円安阻止介入が最も意識してきた投機筋の動向
2022年以降の円安阻止を目的とした為替介入は、投機筋の円売りが拡大する中で続けられ、投機筋の円売りが縮小、さらに円買いに転換したところで終わるパターンを繰り返してきた。その意味では、為替介入は投機筋の円売りの転換を、円安の流れを変える上で最も重視してきた可能性があった。
その投機筋の円売りは、9月以降、すでに円買いに転換している(図表1参照)。米ドル/円は、いまだ米ドル安・円高への戻りが限られている状況が続いていることを考えると、これまでとは異例の展開になっているようだ。
円高が限られる中でも投機筋は円買いに転換
円安阻止介入が続く中で、投機筋が円売りから円買いに転じたもう一つの理由は、米ドル/円の120日MA(移動平均線)との関係だった。米ドル/円が120日MAより米ドル安・円高に転じると、投機筋も円売りから円買いに転換した(図表2参照)。
これを参考にすると、今回いまだ米ドル安・円高への動きが限られている中でも、投機筋が円売りから円買いに転換したことも説明できる。米ドル/円は、7月末の日米協調介入後の急落で120日MAを割り込むと、その後も基本的に120日MAより米ドル安・円高水準での推移が続いてきた。
投機筋の代表格であるヘッジファンドでは、120日MAが円売りと円買いの分岐点の目安とされる。それを参考にすると、投機筋が円売りから円買いに転換したことは、基本的に説明できそうだ。そして、それによって今回、いまだ米ドル安・円高への戻りが限られている中でも、投機筋が円買いに転換したことも正当化できる。
投機筋の円売り回帰の回避が「3度目の介入」の条件か
2022年以降の円安阻止介入は、投機筋の円売りを円買いに転換させることが大きな焦点だった。そして今回は、いまだ米ドル安・円高への動きが限られる中でも、それを達成していた。それは、これまで見てきたことからすると、米ドル/円の120日MAとの関係が鍵だったのではないか。
足下の米ドル/円の120日MAは159.3円程度で、円安阻止介入で最も意識される、投機筋の円売りと円買いの分岐点の目安である可能性がある。そうであれば、通貨当局としては、ヘッジファンドなどの投機筋が再び円売りに転じるのを回避することを強く意識し、120日MAを大きく超える米ドル高・円安に対して、「3度目の為替介入」などで回避に動く可能性があるのではないか。

