先週(10月5日週)の振り返り=大きく下落してきたユーロも先週は下げ渋る
米ドル/円はわずか1円強の値幅、小動きに終始
先週(10月5日週)の米ドル/円は、158円前後での動意の薄い展開に終始しました。手掛かり材料に欠ける中で、下がったところでは米ドル買い・円売りが根強い一方、158円台後半からは円安阻止への為替介入警戒感も強まるようで、1週間を通じた値幅はわずか1円強にとどまりました(図表1参照)。
その米ドル/円に代わり、2026年に入ってからの安値を更新し、注目を集めてきたのがユーロ/円でした。ただそのユーロ/円も、先週(10月5日週)は下げ渋りが目立つ展開となりました(図表2参照)。
独米金利差ユーロ劣位拡大が一服=ユーロ下げ渋りの理由
ユーロ/円が先週(10月5日週)に下げ渋ったのは、9月以降対米ドルで大きく下落してきたユーロが下げ渋った影響が大きかったでしょう。この間のユーロ/米ドルの値動きは、基本的に独米金利差(米ドル優位・ユーロ劣位)の変化に沿ったものでした。先週は、それまで続いてきた独米金利差のユーロ劣位拡大が一服したため、ユーロ安・米ドル高も一服したと言えそうです(図表3参照)。
9月以降大きく広がった独米金利差のユーロ劣位拡大は、当初は世界的な長期金利上昇の中で起こったものでした。独米ともに長期金利が上昇した場合、金利水準が「米国>独」であることから金利差ユーロ劣位が拡大します(図表4参照)。
その上、10月に入り、仏などの財政規律への懸念が大いに注目されるようになると、欧州内での「質への逃避」から独の長期金利は低下。それが一段と独米金利差のユーロ劣位拡大をもたらしましたが、先週(10月5日週)はそうした動きも一服しました。
以上見てきたように、世界的な長期金利上昇と、欧州内での仏の財政懸念に伴う「質への逃避」がともに先週は一息ついたことから、独米金利差のユーロ劣位拡大に沿ったユーロの下落も、対米ドル、そして対円でも先週は足踏みしたといったところでしょう。
2012年「欧州債務危機」再燃説は悲観し過ぎではないか?
欧州では2010~2012年に債務危機が広がりました。きっかけはギリシャで財政赤字が過小に説明されていたことが明らかになり、これを受けてギリシャの債券が急落するという「ギリシャ・ショック」でした。やがて欧州内のギリシャ以外の国々にも波及、特にイタリア、スペインなど欧州の大国の10年債利回りも7%以上に急騰(債券価格は急落)すると、ユーロの信認が揺らぎかねない状況にまで追い込まれました。
最近のフランスを中心とした財政規律への懸念は、この2012年にかけて展開した欧州債務危機のような深刻な事態に広がりかねないかといえば、それは悲観し過ぎではないでしょうか。
欧州債務危機は、ECB(欧州中央銀行)による条件付きながら問題とされた国の債券を事実上無制限に購入するというOMT(国債買い入れプログラム)発動の決定をきっかけに収拾に向かいました。こうした債務危機対策のノウハウが構築されたことの意味は小さくないでしょう。欧州債務危機のようにユーロの信認が再び試されるような事態に追い込まれるというのは、悲観し過ぎのように思います。
今週(10月13日週)の注目点=159円以上なら米ドル売り介入再開か?
国際会議や米経済指標の発表が世界的な長期金利上昇に与える影響は?
今週(10月13日週)は、IMF(国際通貨基金)総会など国際会議が予定されており、世界的な長期金利上昇への影響などが注目されることになりそうです。また米経済指標では、CPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)などのインフレ指標、そして小売売上高など、注目度の高い指標の発表が予定されています。
これらを受けて、仮に世界的な長期金利上昇が再燃した場合は、日欧に比べて米国の金利水準が高いことから、金利差の米ドル優位拡大が米ドル買い材料になる可能性はあるでしょう。ただ米ドル/円が159円を大きく超えるようなら、日米通貨当局による米ドル売り・円買い介入が再開される可能性にも要注意です。
今週(10月13日週)の米ドル/円は155~160円で予想
9月に入り一時152円まで米ドル安・円高が広がった局面では、ヘッジファンドの取引を反映するCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円買い越し(米ドル売り越し)が急拡大しました。その後、米ドル/円が159円まで米ドル高・円安に戻る中で、この円買い越しは縮小したものの、それでも10月6日時点で6万枚と、円買い越しが続きました(図表5参照)。
私は、このようなヘッジファンドの円買い継続は、同業界出身で関係が深いとみられるベッセント米財務長官が進める円安是正戦略と関係している可能性に注目しています。もしもその見方が正しければ、日米の通貨当局はヘッジファンドの円買い取引の損失拡大回避に動く可能性が高いでしょう。
ヘッジファンドの円買いポジションの損失分岐点の目安となる米ドル/円の120日MA(移動平均線)は159円台で推移していることから、この円買い取引の損失回避を目指すなら159円を大きく超える米ドル高・円安に対しては介入が再開される可能性があるでしょう(図表6参照)。
以上を踏まえると、米ドル/円が159円を大きく超えて上昇する可能性は低いのではないでしょうか。介入が再開された場合、これまでの経験からすると、その日のうちに4~5円と大きく米ドル安・円高に向かう可能性があります。その意味で、今週(10月13日週)の米ドル/円は155~160円で予想します。

