コロナショック直後の利回り水準まで価格は下落

J-REIT価格の下落傾向が止まらない。東証REIT指数は7月下旬から下落に転じ、ボックス圏での推移を経ながら1,650ポイント台まで切り下がっている。年初は2,000ポイントを超えていたため、下落率は18%を超えている。

価格下落に伴い利回りは上昇し、J-REITの平均の利回りは、10月7日時点で5.5%を超えている。また利回りは加重平均であり全銘柄の中央値は5.78%と高く、図表の通り5.5%以上の銘柄数は36銘柄に達している。利回りが5.5%を超える水準となったのは、コロナショックで価格が急落した2020年3月以来となる。

なお4.0%未満となっている銘柄はサンケイリアルエステート投資法人だけであるが、この銘柄はTOB(公開買付)が実施中であり、買付価格である12万5000円前後で価格が推移しているためだ。

【図表1】J-REITの利回り銘柄数分布(2026年10月7日時点)
出所:各銘柄公表資料を基にアイビー総研(株)作成

銘柄選別ではインフレ耐性を重視する必要がある

前述の通り、価格は下落傾向にあるが反発の可能性が充分にあると考えられる。同様に価格が下落傾向を続けた時期としては、2021年8月から2024年10月までが該当する。この時期は東証REIT指数が2,150ポイント程度から1,700ポイント程度まで下落した。

その後に東証REIT指数は再度、2,000ポイントを超える反発を示している。価格反発のきっかけは米長期金利の低下であった。短期的には米長期金利が低下する可能性は少ないため、価格反発には時間を要すると考えられる。しかし、銘柄の業績は安定しているため、すでにJ-REITを保有している投資家であれば、中期的な価格反発の余地を考慮し価格下落に「狼狽」して売却する必要性は少ないと考えられる。

ただし2021年8月から2024年10月までの価格下落時と異なる点として、国内長期金利の大幅な上昇という要素がある。日銀の利上げによって短期金利も上昇しているため、借入金に対する支払い利息の増加により業績が圧迫される可能性が高くなっている。

例えば、J-REITが変動金利で借入金を調達する時の基準金利は1ヶ月TIBOR(Tokyo Interbank Offered Rate、東京銀行間取引金利)となっている場合が多いが、1月5日時点の0.86%程度から1.4%程度まで上昇している。10億円の変動金利借入金であれば540万円、支払い利息が増加することになる。

したがって、今後J-REITに投資する場合や売却する銘柄を選択する場合には、国内の金利上昇による支払い利息の増加に耐えうる銘柄を選択することが重要となる。収益増加という面に着目するなら、オフィス系(オフィス比率が高い総合型を含む)が最有力の候補と考えられる。また東京都心部をポートフォリオの中核とする住居系も、入居者入替え時だけでなく更新時の賃料も増加しているため有力といえるだろう。