米国株式市場(2026年9月)の振り返り、中東情勢の不透明感や原油高などにより下落
・9月前半の米国株式市場は、中東情勢の不透明感や原油高、金利上昇、季節的な要因により下落した。
・その後、FOMC(米連邦公開市場委員会)の利上げ通過によるアク抜け感から株価は反発し、NASDAQ総合指数やMAG7(マグニフィセント・セブン)関連は最高値を更新した。
・ITとコミュニケーションサービスセクターがS&P500の時価総額と利益の約半分を占め、相場を牽引している。
大型テクノロジー企業の強みと市場環境
・大型テクノロジー企業は潤沢なキャッシュフローを持ち、長期固定金利で資金調達しているため金利上昇への耐性が強い。
・S&P500の予想PER(株価収益率)は歴史的平均と比較して割高感はなく、来年の予想EPSをベースにすると割安な水準にある。
・企業の業績は総じて良好だが、決算発表シーズン前には自社株買いが制限される期間に入る点には留意が必要となる。
日本におけるAIインフラの展望
・エヌビディア[NVDA]のCEOは、フィジカルAIの発展において日本の製造業が持つデータや技術が重要であると認識している。
・そのため、日本に最初の「ソブリンAI」(データ主権を重視したAIインフラ)を構築する方針を示している。
・AIは社会における「電気」のようなインフラとなり、データセンターや電力網などへの莫大な投資が長期的に続くと見込まれる。
エヌビディアのバリュエーションと市場動向
・エヌビディアの業績は驚異的なペースで成長している一方、株価の伸びは相対的に落ち着いている。
・その結果として予想PERが低下し、投資家にとって理想的なバリュエーション調整(割安化)が起きている。
・AIの安全性向上や高度化にはさらなる計算能力が必要となるため、足元の需要の落ち込みを予測する見方は適切ではない可能性が高い。
半導体およびAIインフラの需要拡大
・AIの能力向上に伴い、半導体だけでなく電力インフラや製造装置など、広範な産業で需要が急増している。
・データセンター向けなどのAIインフラ需要は、現在の供給能力を大きく上回っている。
・需要超過に対応するため、関連各社は生産能力の倍増など大規模な設備投資を急いでいる。
エネルギー関連の注目銘柄
・AIに直接関連しない銘柄として、テキサス州パーミアン盆地で土地と水のロイヤリティビジネスを展開する企業が挙げられる。
・新規上場したイーグルロック・ランド[EROK]やテキサス・パシフィック・ランド・コーポ[TPL]が該当し、非常に高い利益率を誇る。
・石油メジャーなどを顧客に持ち、テクノロジー株とは異なるリスクを取る投資対象として検討の余地がある。
ロボティクス・自動化の注目銘柄
・工場自動化を支援するロックウェル・オートメーション[ROK]は、製造業の回帰やフィジカルAIの普及により中長期的な恩恵を受けると期待される。
・手術支援ロボットを手掛けるインテュイティブ・サージカル[ISRG]も、ヘルスケア市場全体が不調な中でも手術件数の伸びが継続している。
・アマゾン・ドットコム[AMZN]は巨大なクラウド事業(AWS)に加え、倉庫の自動化(Amazon Robotics)を推進するテクノロジーインフラ企業として評価される。
ラザードの岸田氏による「SKハイニックス現地取材」と「AI需要の本質」
・岸田氏は、AIサーバーの計算チップの隣に搭載される必須メモリ「HBM」などの製造拠点となっている韓国にあるSKハイニックス[SKHY]の建設中の工場を視察。この工場は完成すれば単体で約160万枚の生産能力を持つ世界最大級の工場となる。
・AI半導体の大量購入者はマグニフィセント・セブンなどの巨大IT企業(ハイパースケーラー)から機密データを守るために自社内でAIサーバーを構築したい一般大企業や、国家単位で独自のAIインフラを整備する「ソブリンAI」へと需要の裾野が広がっている。
・市場の一部には「AIの進化が凄すぎてガードレール(制御)が必要になり、開発ペースを落とすなら半導体需要も減るのではないか」という懸念があった。しかし、サンフランシスコのAIサミット等での議論によれば、「AIを安全にコントロールするための技術を開発するには、これまで以上に膨大な計算能力と電力が必要になる」というのが実態。

