足元の株式市場では、AI関連株を中心とした物色が続く一方、債券市場では金利上昇が鮮明になっています。国内では日銀が9月の金融政策決定会合で政策金利を1.25%へ引き上げ、約31年ぶりの高水準となりました。長期金利も上昇基調が続き、10年国債利回りは9月に3%台へ上昇しています。米国でもインフレ懸念を背景に長期金利が高止まりしており、日米ともに企業や家計にとって「低金利を前提とした環境」からの変化が一段と意識される局面です。
一方、日本株はこうした金利上昇下でも底堅く推移しており、金利上昇がすべての企業に一様な逆風となっているわけではありません。今後、金利水準がさらに切り上がる局面では、借入負担が相対的に小さく、十分な利払い余力を持つ企業に投資家の注目が集まりやすくなる可能性があります。そこで今回は、TOPIX1000構成銘柄を対象に、インタレストカバレッジレシオ、ネットD/Eレシオ、予想PERの3つの観点から、財務面で金利上昇への耐性を持ちながら、バリュエーションにも割高感の小さい銘柄を抽出しました。
ネットD/Eレシオは、有利子負債から現預金などの手元資金を差し引いた純有利子負債を、自己資本で割った指標です。数値が低いほど実質的な借入依存度が小さく、金利上昇による支払利息増加の影響を受けにくい財務体質とみることができます。なお、ネットキャッシュ企業では数値がマイナスとなる場合があります。
<抽出条件>
・対象銘柄:TOPIX1000構成銘柄
・東証33業種のうち、銀行業・保険業・証券商品先物業・その他金融業を除く29業種
・インタレストカバレッジレシオの直近5年における中央値が各銘柄それぞれの業種内で上位30%以内
・ネットD/Eレシオが各銘柄それぞれの業種内で下位50%以内
・予想PERが各銘柄それぞれの業種内で下位25%以内
個別では、オープンハウスグループ(3288)が注目されます。不動産業は一般的に金利上昇の影響を受けやすい業種ですが、同社は財務規律を重視しており、会社自身が「金利上昇局面において十分な吸収余力を有する」と説明しています。今期業績も増収増益見込みで、直近では通期予想と配当予想を上方修正しています。シーイーシー(9692)は官公庁向けのインフラ構築案件などが好調で、上期営業利益は前年同期比20.5%増となりました。加えて、国内完結型のソブリンクラウド基盤「BizAxis IaaS」の提供を開始するなど、AI・クラウド関連分野への展開も進めており、中期的な成長余地も意識されます。また、プラスチック容器成形機械メーカーの日精エー・エス・ビー機械(6284)は省人・省材料ニーズをビジネスチャンスと捉え、受注動向も好調であったことから2026年9月期の第3四半期累計営業利益が同20.2%増となりました。加えて、インドでの設備投資も進めるなど財務健全性を保ちながら、供給体制の拡大も進めています。
金利のある世界が常態化しつつある日本では、あらためて企業の財務健全性に注目した銘柄選びの重要性が高まりつつあります。今回抽出された銘柄は、所属業種内でみて利払い余力や財務負担、バリュエーションの面で相対的に良好な条件を満たしています。金利上昇局面における銘柄選びのご参考にしていただければ幸いです。

