先週(9月7日週)の振り返り=一時152円台まで米ドル/円の下落幅が急拡大!
短期間で7円以上の急激な円高=きっかけは長期金利上昇の一服
9月に160円で取引を開始した米ドル/円でしたが、すぐに155円台まで急落、そして先週(9月7日週)はさらに一時152円台まで一段安となりました(図表1参照)。たった1週間程度で最大で7円以上もの米ドル安・円高となったわけですが、その背景は何だったのでしょうか。
一時163円まで進んだ米ドル高・円安は、基本的に日本の財政規律への懸念を受けた長期金利上昇と連動するものでした。そうした長期金利である10年債利回りは、9月に入って早々に3%の大台に乗ったところで上昇が一巡し、低下に転じました。これが円安から円高へ転換するきっかけになったということではないでしょうか(図表2参照)。それにしてもなぜ日本の長期金利上昇は一服するところとなったのでしょうか。
財政規律維持を要請したベッセント=高市内閣の改造は、要請受け入れを意味するのか
最近、ベッセント米財務長官が「日本はリフレ政策をやめるべきだ」と発言し、注目されました。これは別の言い方をすると、高市政権に対して財政規律の維持を要請するという意味のように感じられます。
こうした中で、この9月中旬に予想されている高市内閣の改造において、いわゆる「財務省系」とみられている人たちの留任観測の報道が相次ぎました。それまでは元財務大臣や現財務大臣をことごとく交代させ、新たな体制で積極財政に一段と踏み出すとの見方が強かったものの、ベッセント長官の発言を境に一変したのは、財政規律維持の要請に歩み寄ったようにみえます。そして、そうした中でそれまでの「長期金利上昇=円安」という関係も変化したわけです。
ただ、一時152円台まで米ドル安・円高となった動きは、長期金利低下で説明できる範囲を大きく超えたものでした(図表3参照)。その意味では、急激な米ドル/円の下落は「行き過ぎ」ということなのでしょうか、それとも長期金利低下などとは別の「メカニズム」が働いた結果ということなのでしょうか。
27兆円規模の介入を「飲み込んだ」投機筋の円売り=155円割れで損切り?
2026年の日本の通貨当局による米ドル売り・円買い介入は、これまでにすでに27兆円以上に達したとみられています。これは、たとえば2025年の貿易・サービス赤字の4兆円の6倍以上にもなることから、為替需給が大幅な米ドル余剰、つまり米ドル売りの多い状況をもたらした可能性を示唆します。
仮にそうなら、なぜ米ドル/円はこれまで155円を割らない状況が続いたのでしょうか。それは、短期的には圧倒的な取引ボリュームのある投機筋の米ドル買い・円売りが「飲み込んだ」結果だったのではないでしょうか。ただその投機筋も、これまで為替介入でも割れなかった155円を割ったことで、ついに抱えていた米ドル買い・円売りポジションの処分を拡大し、それが日本の長期金利低下などで説明できる範囲を超えた米ドル/円の急落をもたらしたということだったのではないでしょうか。
代表的な投機筋であるヘッジファンドの取引を反映しているCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、9月1日時点の9万枚の売り越しから、8日時点では1万枚と小幅ながら買い越しに転換しました(図表4参照)。これは、今回の急激な円高への転換において、投機筋の円売りポジションの処分に伴う円買い戻しが大きく影響した可能性を再確認するものと言えるでしょう。
今週(9月14日週)の注目点=日米の金融政策発表など
日米金利差や日本の長期金利は、円高からかい離
これまで見てきたように、先週(9月7日週)にかけて大きく円高方向へ戻り、一気に2026年に入ってからの対米ドルでの円高値の更新に迫る展開となりました。では今週(9月14日週)、一気に円高値を更新するかといえば、疑わしい要因もあります。
今週(9月14日週)は日米の金融政策発表が予定されています。その中で日銀の利上げはほぼ確実視されてきましたが、ここに来てFRB(米連邦準備制度理事会)も利上げするとの見方が一段と強まってきました。こうしたことを受けて、日米の金融政策を反映する2年債利回り差(米ドル優位・円劣位)は大きく拡大し、米ドル安・円高とのかい離が広がってきました(図表5参照)。
最近の円安は、金利差より日本の長期金利上昇の影響を強く受けてきたとみられていますが、その長期金利も、イラン戦争の継続を受けた原油価格の上昇再燃などによる米長期金利上昇に連れるように先週後半から上昇が再開しました。
今週(9月14日週)の米ドル/円は152~155円で予想
日米金利差拡大、日本の長期金利上昇といった要因は、基本的には米ドル/円の上昇を示唆するものです。今週(9月14日週)は、日米の金融政策発表などを受けたこうした要因をにらみながら、米ドル/円がどこまで反発するかを見極める展開になるのではないでしょうか。以上を踏まえ、今週(9月14日週)の米ドル/円は、152~155円のレンジで予想します。

