米8月失業率が4.1%であれば、9月FOMC利上げの可能性

米国の政策金利であるFFレートと失業率には一定の相関関係がある。この相関関係をより明確にするために、失業率から失業率の過去10年の平均値(10年MA)を引いた「修正値」を計算すると、8月失業率が予想通りの4.1%となった場合は、FFレート引き上げの必要性を示唆することになりそうだ(図表1参照)。

【図表1】FFレートと米失業率・修正値(2022年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

では、失業率が4.1%だった場合、9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げの可能性が高まり、米金利が上昇し、米ドル高・円安が広がることになるだろうか。

米金利は2回の利上げ織り込み、さらなる金利上昇余地は限られる?

金融政策を反映する米2年債利回りは、最近では4.3%以上に上昇した。このためFFレート誘導目標上限の3.75%を最大で0.6%程度上回った。つまりすでに0.25%×2回の利上げを織り込むところまで米金利は上昇している(図表2参照)。

【図表2】FFレートと米2年債利回り(2020年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

果たして、利上げを先取りする場合、米2年債利回りはFFレートをどれほど上回るものなのか。2014年以降で、米2年債利回りがFFレート誘導目標上限を1%以上も上回ったのは2022年の1度だけである(図表3参照)。これは歴史的インフレの襲来により、FRB(米連邦準備制度理事会)が利上げ対応で「ビハインド・ザ・カーブ」、つまり著しく後手に回ったとの見方が広がった局面だった。

【図表3】FFレートと米2年債利回りのスプレッド(2014年~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

米2年債利回りがFFレートを1%以上と大幅に上回るのは、利上げで後手に回っているとの見方が広がった場合や、連続利上げが予想されるようなケースだろう。今回の場合、そうしたケースに該当しないなら、雇用統計の結果を受けてかりに早期利上げ観測が広がっても、この先の市場金利の上昇には自ずと限りがあるのではないか。

利上げを警戒する株価、背後にAIバブル崩壊の懸念も?

もう1つ注目したいのは株価との関係だ。前回、7月末FOMCの利上げ見送りという結果は株安から株高への転換につながったが、これは最近の株価がFRBの利上げに対する警戒感が強いことをうかがわせる(図表4参照)。そうであれば、仮に今回の雇用統計を受けて早期利上げ観測が広がった場合株価は下落する可能性もあるのではないか。

【図表4】日経平均とナスダック指数(2025年1月~)
出所:LSEG社データよりマネックス証券が作成

SOX指数(フィラデルフィア半導体株価指数)が6月以降、最大で約3割下落した動きについて、2000年からのITバブル崩壊局面のナスダック指数下落のプライス・パターンとの類似性に注目する見方もある。FRBの利上げの可能性が高まることでSOX指数がこの間の安値を更新、AIバブル崩壊が始まっている可能性に現実味が出てくるようなら、結果としてFRBはこの先の利上げが困難になる可能性もあるのではないか。